2016年2月26日金曜日

どうして京都大学を?

昨日から、大多数の国立大学では、前期日程の個別学力検査が実施されています。

特に東大京大では、例年2月25日より2日ないし3日間に渉って二次試験、3月10日もしくは3月9日に合格者発表、という日程が原則として遵守されてきました。

しかし本年度から、一般入試の第1段階選抜(センター試験の得点を基準にした出願倍率調整)合格者が発表される2月10日に、推薦入試・特色入試の最終合格者も併せて発表される運びとなりました。遂に東大・京大でも推薦枠が!と各種媒体で報道された所以です。

受験生を指導なさる高等学校の先生がたも、多大な関心を寄せていらっしゃるであろう新制度でしたから。とある私立高校ではお喜びの余り、合格した受験生たちの個人情報を詳細に地方新聞へ掲載させちゃった、ツッコミどころ満載なケースも散見されたり。

当該記事の一件に拠れば、東京大学推薦入試で理科1類に合格した男子生徒は、
英検準1級、沖縄空手初段を有するほか国際交流や東日本大震災の被災地での支援活動にも継続的に取り組んだ。センター試験得点率は91%
とのこと。一方、京都大学特色入試で経済学部合格を決めた女子生徒は、
英検1級、剣道4段のほか、数々の英語スピーチ大会で上位入賞した。 センター試験得点率は85%
だったそうで。文言どおりの文武両道にして校外活動にも積極的、かつ1月中旬に実施されたセンター試験でオールマイティな成績を修めた結果、ツッコミどころ皆無な最終合格を見事獲得なさった、という次第のようです。

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さて、受験生の視点から見ると、東大だろうが京大だろうが、極め付きに優秀じゃなきゃ出願さえ叶わないし、書類選考や面接・論文等に加えて、センター試験での高得点が必須。てことは、一般入試の方が楽じゃね?というオチになっちゃいますが。

ちょっぴり斜め上な俯瞰に視点を据え直してみると、“七帝大長男”と“七帝大次男”が、それぞれ如何なる“個性”を有しているのか? 今年度実施された『推薦入試』『特色入試』の有り様から、面白いほど鮮やかに浮かび上がって来ちゃったり。

そもそも特設サイトからして、両校の“個性”が歴然。トップページのデザイン・コンセプトで、既に一目瞭然ですから、非常に興味深いのです。どちらのサイトが視認性に優れ、受験生への配慮が行き届いているか、すぐにお判り戴けることと思います。

東京大学の『推薦入試トップページ』2016年2月25日現在のスクリーンショット

『京都大学 特色入試』2016年2月25日現在のスクリーンショット

そして、東大の『推薦入試』トップページで冒頭に提示されているのが、
東京大学では、学部教育の総合的改革の一環として、多様な学生構成の実現と学部教育の更なる活性化を目指し、平成28年度入学者選抜から日本の高等学校等の生徒を対象に推薦入試を実施します。
という一文。その直下には、『東京大学総長からのメッセージ 』へのリンクが張られています。

京大の『特色入試』トップページでは、
京都大学は、平成28年度から  あなたの学ぶ力と高い志を求めて   京都大学特色入試を開始します。
という簡潔な一文が、各学部の『特色入試を通じて求める人物像』と同列に、動画で掲示される仕様。あ、そう言えば山極さんからメッセージて無いのん?と探してみたら、メニュー枠の、一見するだけでは総長挨拶とは分かりにくい『京都大学特色入試を始めるにあたって』に、いまいち目立たへんリンク張られてましたw

要するに、東大が『推薦入試』を実施する目的は、『学部教育の総合的改革の一環として、多様な学生構成の実現と学部教育の更なる活性化を目指』すこと。対して、京大が『特色入試』を開始する意図は、『あなたの学ぶ力と高い志を求め』ること。

すなわち、東大は『学部教育の総合的改革(大学当局)』が主体であり、京大は『あなた(受験生)』をこそ主体とする姿勢が、明々白々。『特色入試』の特設サイトが、訪れてくれる高校生へ配慮し視認性の高いデザインなのも、宜なるかな、なのです。

京都大学の学風は、ボトムアップの現場優先主義をこそ尊ぶ『自由』。

トップページのデザイン・コンセプトからは、『学ぶ力と高い志を』備えた受験生たちに、各学部の『求める人物像』を理解して戴くことこそ最重要であって、総長のお言葉なんぞ、そないな形式主義はどーでもえぇんや!という心意気まで伺えたり。

どうして、東京大学じゃないのか? どうして、京都大学を志すのか?

最高学府に必要なのは、学ぶ力と高い志を主体的に発揮できる『自由の学風』
そう考えているから、娘はこの大学を志望し、他人様にもお奨めするのです。

【補記】『自由の学風』をもたらした『折田先生を讃える会』も、是非ご参照ください。

>>後篇『どうして東京大学は?』を読む

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