2014年6月21日土曜日

世間の噂・家族の絆

>>第1話レビュウ『階上と階下のドラマ』を読む
>>第2話レビュウ『貴族の威信・市民の矜恃』を読む
>>第3話レビュウ『華麗なる婚活・隠然たる不穏』を読む
>>第4話レビュウ『変わる勇気・変わらぬ気概』を読む
>>第5話レビュウ『凡愚の浅略・聖賢の無謀』を読む


第6話は、いよいよ混迷を増して参りましたね! 『ダウントン・アビー』!!!

第5話「嫉妬の炎」のレビュウで、なんだか『宮廷女官チャングムの誓い』に雰囲気似てるかも〜?などと書いておりましたが。こちらのドラマで窮地に陥るのは、長今と韓尚宮だけじゃなくw

階上も、階下も!この方も、その方も、あの方も!ってのが、正統派群像劇ならではの醍醐味。喩えて言えば、“英国式朝食”と“午後のお茶会”と“正式な晩餐”を、一息に戴いちゃった感じで、超絶美味な上に大満足でした〜vvv

第1話冒頭でも、精妙な脚本と巧緻なカメラワークに、滾りまくっておりましたけど。複数のエピソードを一挙に綴った今回は、ジュリアン・フェローズ御大ならではの場面転換の妙技が、殊更に際立ちました!

なんてったって、朝ドラ風味な三女・シビル嬢の大活躍+『大長今』の水剌間編も斯くやな従者・ベイツ氏の難局+ソープオペラ仕様な長女・メアリー嬢のギリギリ婚活が、同時進行。それでいて視聴者を幻惑させない超絶技巧に、感服です!

群像劇を物語る、楽しさも苦しみも。ちょっぴりですけど味わった事がある、字書きの端くれとしては、ホント、素晴らしく勉強になりましたです。

もちろん物語の方も最終回直前で、ますます好調。当然、期待が高まります!

《以下、第6話「通い合う想い」のネタバレ御注意!》

ドラマ公式サイトの“EPISODE”に比べ、分かりやすいけどネタバレしすぎじゃね?と気を揉んでた放映局の“これまでのあらすじ”で、早々と明記されてたんですが。

第6話冒頭で、現時点が1914年の5月である旨、表示されます。

第1話が、タイタニック号の沈没のニュースが届いた日、すなわち1912年の4月半ばでしたから、此処までで2年余りが経過したって事。ベイツ氏も『2年も働いているのに』なんて、仰ってましたよね……

となると、第4話で『DOWNTON FAIR』を告知するポスターの日付『THURSDAY, MAY, 29TH』は、俄然、1913年である可能性が高くなります。そう言えば、マシュー青年の母上・クローリー夫人も、第5話のフラワー・ショーで『去年、豪華なカップを見たわ!』と仰ってましたっけ……

第4話のレビュウでは迂闊にも、『1ヶ月半足らずの間に』第1話〜第4話の急展開があったのかと、深読みしちゃいましたが。『1年と1ヶ月半の間に』と、謹んで訂正させて戴きたく。

併せて、第二フットマンのウィリアムから、御家族が例年7月にロンドンへ移動なさる旨が語られたり。奥様と先代伯爵夫人・ヴァイオレット様の“仲直り”の場面では、春から始動したロンドンでの社交シーズンは8月いっぱいで終了し、秋は、必要とあらば外国へ、旅行する時季なのだと判ったり。

こうなると時系列マニアな私は、俄然、血が騒ぎます。

以上の情報から、『図説 英国執事 貴族をささえる執事の素顔』を参考に復習すると、各話の時期は、大体こんな感じになりました。

第1話:1912年4月〜5月(服喪は2週間から1ヶ月程度?)
第2話:1912年5月〜6月?(フラワー・ショー開催直前)
第3話:1912年の晩秋?(狩猟シーズンは11月開始)
第4話:1913年5月末
第5話:1913年6月?(フラワー・ショーはロンドンへの移動前に開催?)
第6話:1914年5月
第7話:1914年7月〜

加えて、ご令嬢お三方の社交活動(=婚活)状況を鑑みると……

長女のメアリー嬢は、第1話で既に、安全牌wな元継承者・パトリック様と御婚約なさっていた。すなわち、1911年の社交シーズンには、デビュウ済みだった事を意味しますので、最低でも4期目を迎えようという所。

当時は、17〜18歳で社交界デビュウ。2〜3期を経て二十歳を迎えた時分に、御婚約・御成婚なさるのが一般的だったらしく。たとえ例の『悪い噂』が無かったとしても、御両親共々、焦りが募って来る年齢です。

次女のイーディス嬢は、デビュウ時期がハッキリしませんが(この辺りも不憫可愛いw)、お母様たる奥様に『あの子は取り柄が少ないの』と評され、やたらお姉様へ嫉妬を燃やしてたのが1913年の初夏。

なので、その前年にデビュウなさったと仮定すれば、3期目を迎える訳で。やはり良いお相手が、そろそろ現れて欲しいお立場です。ストララン卿は、先妻と死別なさったようで。お人柄は良さげなんですけどねー、如何せん年の差が大きいのが気懸かり。

三女のシビル嬢は、お父上である旦那様の弁から、どうやら今年のデビュウを控えてらっしゃる模様。

ハウスメイドのグエンが抱く転職志望を応援したり(最近は、お節介が過ぎる気配も)、社会運動家を名乗る運転手のブランソン氏に肩入れしたり(我が儘で、振り回しちゃってますが)、政治集会に内緒で参加しながらも。

階級社会の象徴たる国王陛下(この当時だと、ジョージ5世=現女王・エリザベス2世陛下のお祖父様)への謁見を、楽しみにしてらっしゃる御様子なのが、余りに世間知らずで。

微笑ましくも危なっかしく、今回は専ら旦那様へ御同情申し上げちゃいました。

ドラマ公式サイトの“NEWS”『いよいよ最終回』で、誠に要領宜しく、まとめて下さった通り。階上でも階下でも、息詰まる展開が大盤振る舞いだけに、村上リコ様が設けて下さったハッシュタグも、今回ばかりは、一同、固唾を呑んで見守るばかりだったようです。

さてさて、第2シーズンも今秋の放映が決定!との朗報も届き……

明晩に迫った第1シーズン最終回は、気力・体力を充実させて、しっかり・たっぷり堪能させて戴く所存です!


>>第7話レビュウ『階上と階下の運命』を読む

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