2014年5月31日土曜日

華麗なる婚活・隠然たる不穏

>>第1話レビュウ『階上と階下のドラマ』を読む
>>第2話レビュウ『貴族の威信・市民の矜恃』を読む


なんと第3話は、サスペンス展開でしたね〜vvv『ダウントン・アビー』

第1話「嵐の予感」では、階上に住まう伯爵家の“御家族”と、階下でご奉仕に努める“使用人”。そして第2話「招かれざる客」で、中流階級に属する爵位継承者母子の、お人柄を鮮烈に御披露下さったジュリアン・フェローズ御大

でも実は、お屋敷勤めを始めたばかりの、“純情素朴なキッチンメイド”から、使用人や小作人に等しく慈愛を注ぐ、“寛大高潔な旦那様”に至るまで、結構ステレオタイプ。文字通り『物語に登場するような』キャラクタ設定、なんですよね。

第1話で布石された執事と従者の間に蟠る禍根を、手際良く回収かつ互いの信頼へと転換して見せた、カーソン氏の“意外な過去”も、いつかどこかで似たよな話を、読んだ覚えがあるような。

“許されざる過去”を頻りに匂わせてるベイツ氏にしても、ボーア戦争に従軍してた男に公言を憚る秘密が……てのはアガサ・クリスティーの著作でお馴染みだし。

お嬢様がたのキャラ設定にしても、なかなか“発展家”な長女・いちいち姉に反発する次女・姉二人に愛される未だ乙女な三女……てのは『エマ』に登場したキャンベル子爵家の三姉妹を、彷彿とさせる所もあったり。

そんな登場人物紹介が済んで、本格的に物語が動き始める第3話。

リアルで爵位をお持ちな脚本家は、如何なるドラマを紡いて下さるのか?
断然、期待が高まります!

《以下、第3話「欲望の代償」のネタバレ御注意!》

皆様の年齢については、明言されてないんですけど。

第2話で、旦那様が「1880年代、所領の維持が(経済的な)危機に曝され、それを救ったのがコーラの持参金」と仰ってましたので、恐らく、ご成婚なさって二十数年は経っており。

更に第1話で、すぐ奥様とラブラブになった御様子が窺われましたから、ご長女・メアリー嬢は、結婚適齢期真っ直中と拝察されます(少しく下世話な推理にて恐縮w)。

彼女が、次代子爵・イブリン・ネイピア閣下を、競馬場で逆ナン(てのは冗談w 必ず仲介者が居られた筈)したり、“お友達”として文通したり、狩りを口実に自邸へ招待したり……ご性格もあるのでしょうが、長女の縁談が決まらぬ事には、後に控えた次女・三女の婚期にも差し支えますし、積極的なのはやむを得ない所。

母親たる奥様は、ご出身がアメリカ成金ということもあって、貴族同士の“ママ友情報網”が不得手でらっしゃる旨、ブランクサム子爵夫人(=ネイピア閣下の母上)が既に故人である事を、承知していなかった件で描出されます。第2話に引き続き、生粋の英国貴族でない引け目から、メアリー嬢相手だと苦戦なさってらっしゃる模様。

そんな姉上への対抗心もあってか、次女・イーディス嬢は、爵位継承者・マシュー青年へモーレツアタック!(死語ですねw) 彼が教会建築好きと事前にチェック&乗馬は苦手と察して馬車も手配し、地道な努力を重ねてデートへ誘い出せましたが。家庭教師から受けたお嬢様教育程度では、如何せん、お勉強不足だったようで。

インドア派で読書好きなマシュー青年。どうやら第2話のディナーで、メアリー嬢から散々に遣り込められながらも、古典にも造詣が深い(あ、ギリシャ神話のアンドロメダの件です)彼女の教養に、心惹かれたご様子です。

英国貴族に相応しい華麗な婚活レースは、本命・ネイピア閣下に対抗・マシュー青年が加わり、オスマントルコから美貌の外交官まで乱入! 
大混戦を呈して参りますが……

トーマスにもwメアリー嬢にも、やたら強気だった“大穴”は、アッサリ心臓発作で死亡(どうやら阿片常用者にお定まりの“突然死”みたいです。参考文献は『バジル氏の優雅な生活』の「ハリーの災難」)。明敏で心優しい“本命”は、激しく動揺するメアリー嬢への“美しい誤解”から、自らフラグを折ってしまい。

あれれ〜?!マシュー青年てば、労せずして一気にトップへ躍り出ちゃった?
おまけに、メアリー嬢に手を焼いてた奥様も、俄然、優位に立ってるし。

デイジーに決定的瞬間を目撃させたり(これが為に、普通はハウスメイドが行う階上各部屋の暖炉焚き付けを、彼女に担当させてたんですね!)、喫煙仲間な「悪巧みコンビ」に疑念を抱かせたり。

サスペンスフルな伏線を張り巡らせつつ、婚活レース&相続問題も効率よく進行させるとは!さすが『ゴスフォード・パーク』でアカデミー賞オリジナル脚本賞に輝いた、ジュリアン・フェローズ御大、巧い……巧すぎる!!!

それにしても、『良い人過ぎる』ネイピア閣下ってば。
「大使館とは僕が話を付けます」と請け合って下さったけど。

正直、全く安心出来ませんw

たかがディナーの噂話、しかも貴族にとって取るに足りない、ハウスメイドの転職が話題なのに、少し議論が対立しただけで、ソワソワしちゃう穏健さが!

だって死んじゃったのは、オスマン帝国の外交官(しかも大臣の息子!)で、アルバニア独立を巡る重要な会談の直前で、時代は第一次大戦“前夜”なんですよ!

まさか、この事件を切欠に、『T.E.ロレンス』アラブの反乱を扇動……
みたいな展開?! それって、私的には超絶美味しいんですが〜vvv

そして、コ、コルセット!締めさせて下さい!製作させて下さい!とか。
馬と犬がイパ〜イ!けものまみれな狩り、勢子でいいから御一緒したい!とか。
これが有名な『緑のベーズ(麻雀卓のアレ)を貼ったドア』ですね!とか。

勝ち気なメアリー嬢も、真っ先に頼ったのは侍女兼任のアンナなのね(ウルウル)とか。
乙女なシビルは、グウェンを応援しながら自分も目覚めちゃうのね(ホンワカ)とか。
抗生剤が無かった時代、下手すりゃ敗血症になっちゃうよベイツ氏(ガクブル)とか。

今回も盛り沢山な萌えポイントを同好の皆様と嬉しく共有しつつ。
第3話も、妄想深読み満載で、超絶美味しく戴きました〜っvvv


>>第4話レビュウ『変わる勇気・変わらぬ気概』を読む

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