2015年6月6日土曜日

『それ町』第14巻感想!

巻頭には、物語の“起点”たる入学式をオールカラーで描き下ろし、巻末には、思わせぶりに「エピローグ」と題した第98話を配して置きながら、『一応言っておきますが、終りじゃありません。もうちょっとだけ続きます』と、確信犯的あとがきを記した第12巻の後で。

毎度お馴染みなエピソードの連打に、素知らぬ顔で紛れ込ませた想定外の一撃・第104話「暗黒卓球少女」を、ガツン!!! とお見舞いされちゃった第13巻と同じく「もくじ」ページに『……に掲載された作品をまとめ、加筆修正を加えました』と但し書きした、最新の第14巻も。

遂に来ましたね〜第108話『夢現小説』+第111話『夢幻小説』!
単行本で11巻・話数にして82話後に、まさかの見事な伏線回収!!

布石が配されたのは、遡ること8年前の第26話『少女探偵誕生』
あ、今回はネットに頼る事なくバッチリ自力で探索致しましたv

丸子商店街に古道具屋を構える亀井堂店主の孫娘にして、主人公・嵐山歩鳥嬢の“師匠”たる亀井堂 静女史の初登場は、第2巻の第12話『それ町サスペンス劇場 湯けむりツアー密室慕情 乙女の誘いは奈落の罠!?』ですが。

この回は、商店街の慰安旅行に参加した、単なるモブキャラ止まり。歩鳥が探偵を志望するに至ったのは、静さんの“助手候補”に任ぜられた事が由縁らしいと、示唆されるのは第3巻の第20話『パンドラの箱』です。

そして同じく第3巻の第26話で、『この前 資源回収一緒にやった』だけの小学生女子へ、大学受験を控えながら書き上げた自作ミステリを、唐突に『真相を推理するんだ 探偵のように』と託した女子高生は一体……

その豊満な胸の裡に、如何なる深慮遠謀を秘めていたのか?!!

無論、“謎解き”をネタバレしちゃうような野暮なマネは致しませんw
巻数を重ねてこそ一層磨きが掛かってきた本作は、取り分け是非とも
漫画にせよ、小説にせよ 商業にせよ、自主制作にせよ、二次にせよ

物語を創り出し世界観を紡ぎ出す、“語る力”と“描く力”に
衝き動かされる熱情と、メタ認知の容赦ない冷徹の狭間で
孤独な煩悶に震える夜を、幾度も明かした創造者の皆様へ

久方ぶりに広瀬 正先生の、タイムトラベル小説の最高峰『マイナス・ゼロ』『鏡の国のアリス』で平行宇宙の超絶技巧を読みたくなってしまった、SF厨なへっぽこ字書きが泣いて喜ぶ洗練の一冊。超絶オススメです!!!


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