2016年1月29日金曜日

Success but Not Enough

『最も難関かつ大切なのは、就職活動と社会人になった最初の数年間』

ご多用を押して前回の記事をご一読下さった「とある成人当事者ブロガー様」から、『ストレートな表現になりますが』と前置きの上、真摯誠実なご忠言を頂戴しました。
ご指摘、全く仰るとおりだと、私もつくづく思います。

でも……結婚してご自身の家庭をお持ちになった後、抑鬱症状などの二次障害を契機に診断を受けた当事者さんなら、結婚準備と新婚生活最初の数年間。お子さんの障害告知をキッカケに、ご自身の“難儀”にも気付いた当事者さんであれば、妊娠出産からお子さんが診断されるまでの数年間を、『最も難関』とご忠告下さるかも知れません。
発達障がいの特性は、一般の人々にも多かれ少なかれ認められ、特別珍しいものではありません。
けれど、五感や認知の凸凹すなわち
情報処理や行動の計画・遂行などに関わる中枢神経系の機能障がいです。
ゆえに、「みんな」なら「普通」の努力を積むことで、いろいろ問題にぶつかったとしても・そこそこ上手に乗り切って・まずまずの成功へ落着できる人生の岐路が逐一、当事者さん各人各様の『最も難関』になってしまうのではないでしょうか?

***

それでは何故、たかだか大学の、それも補欠でようやく頂戴できた合格なのに『大きく娘の将来を左右する成功体験』などと、僭越な一文を厚顔にも綴れたのか?

2016年1月12日火曜日

『励ます力』の源泉

本科生中3保護者さん 2012.01.15 23:33 
今週、国語の授業を受けた娘が帰宅して開口一番、「演習で出た詩、とても気に入ったよ!」 夕食後、食器を洗う私の傍らにプリントを持って来て朗読してくれたのは、茨木のり子さんの『ぎらりと光るダイヤのような日』でした。ずっと国語が苦手だった娘の心に、この詩に共鳴できる感性が育ってくれたか...と感無量でしたが、この『面白がる能力』が願わくば志望校合格にもつながってほしいと思う、欲張りな母です。
長野先生さん 2012.01.16 07:41 
本科生中3保護者さま
おはようございます。
それはよかった。K先生の授業ですね? そうした経験一つ一つが大きな何かの胎動になっていくと思います。先生にもお伝えしておきます。お知らせいただいて、ありがとうございました。
あと少しですね。最後まで応援していきたいと思います。
およそ4年前、『長野先生の幸せに生きるヒント』にアップして下さった『面白がる能力』という文章の、コメント欄から抜粋した遣り取りです。

実は、「本科生中3保護者」という全くひねりの無いペンネームで、コメントさせて戴いたのが、人生初の入試にへっぽこ娘が挑む不安から、お邪魔しておりました当時の私。無粋な筆名にも、『願わくば志望校合格に』というせっかちな期待にも、余裕の無さが見え見えでお恥ずかしい限り。

『欲張りな母』と自己ツッコミ入れている所が一応、理系女子の矜持。とは言え、頂戴したお返事にある、授業をして下さったK先生へのきめ細やかな心配りや、『経験一つ一つが大きな何かの胎動に』という鷹揚な俯瞰や、『励ます力』の頼もしさには無論、遙かに及ぶべくもございません。

とは言えこの頃は、確か3週間後に都立高入試の出願を控え、よりによって最後の模試で、過去最悪の合格予想判定が出てしまった次第でして。我が身の煮詰まり具合に赤面しつつも、渦中に在っては『客観的な認識』云々なんて言ってる余裕無いよ〜と、今の自分へツッコんでみたり……

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本科生中3保護者さん 2012.02.24 09:16 
振り返ってみると、Z会進学教室で娘が得た最大の『財産』は、『真面目に勉強する場』に身を置き、何の遠慮も気兼ねもなく思いっきり勉強できた経験かもしれません。受検直前の週末は朝から自習室を利用させていただき、娘曰く「一人で勉強合宿してるみたい」な状態でしたが、そのうちに気の合う友達もやって来て一緒に勉強し、時々、長野先生がいらして中の様子をご覧になった後、何も仰らずにすうっと去って行かれる...とても幸せな時間だったようです。ありがとうございました。
長野先生さん 2012.02.24 09:46 
本科中3生保護者さま
おはようございます。
コメントをありがとうございました。昨日は都立入試を終えてから何名かの生徒がいらっしゃったのですが、さらに勉強している子までいてびっくりしました。
やはり彼らが最大の財産であると思います。
更に一ヶ月余り後、『塾の財産』と題された記事へ再び寄せさせて戴いた遣り取りが、こちら。前日の学力検査を無事に終え、数日後の合格発表を待っていた時の心境です。

2016年1月9日土曜日

読む。考える。そして、書く。

昨年11月から年末年始にかけて、ご多用を極める最中にもかかわらず
一日も休まずブログ更新を励行して下さった『発達障害な僕たちから』

青木美久先生はじめヒロさんケンさん大統領さんの記事を契機に、
拙宅のへっぽこ娘とも、冬休みの間に様々なことを話し合いました。

『留学の費用はヒロさん自身が稼ぐ』
とのことですが。娘も「私学に入ったせいで、貯めておいてくれた学費は、大学4年間で使っちゃいそうだから。留学や大学院進学の奨学金、自分の成績で稼ぐ」と、一般教養課程でも受験期と変わらず、勉強に励んでます。

『恋人も作りたい』『結婚もしてみたい』
『子どもも作ってみんなで楽しく過ごしたい』というケンさんの夢は、ちょうどジェンダー論を受講している娘と、セクシュアリティや家族観について、改めて彼女の思うところを確かめる、絶好の機会になってくれました。

そして、大統領さんの『過去は変えられます』
『過去の見方を変えることができるのです』
これって、娘も証人です。今までずっと「覚えてない・忘れた」の一点張りだった小学校高学年より前の記憶を、冷静に取り戻し客観的に見直し、未来に活かせる経験へ『見方を変える』ことが、少しずつ出来てるんです。

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持って生まれた特性や生まれ育った家庭の状況は、たとえ十人十色でも
就学前に障害告知を受けて、『早めに練習をしておくこと』が出来ても

五感や認知に凸凹を抱えていれば、多かれ少なかれ
『同じことを強制するような空気』に傷ついてるし

『最悪の気分』で、頭がいっぱいになって
『存在を消し去ることしか』考えつかなくて

「みんな」と違う自分の『生きる意味』
『生きる理由』が、判らなくなることもある。

2016年1月7日木曜日

『励ます力』の極意

昨年の一昨日、1月5日
本日の記事タイトルでオマージュさせて戴いた、
“心の師匠”こと長野正毅先生御本が、上梓されました。


長野先生は、Z会進学教室・渋谷教室長にして、にほんブログ村「高校受験(指導・勉強法)」カテゴリで長年上位を維持しておられる、『長野先生の幸せに生きるヒント』の書き手。個人的な関わりを補足させて戴けば、拙宅のへっぽこ娘が高校受験に臨んだ際、夏期講習以降の数ヶ月間だけ、渋谷教室でお世話になった経緯がございます。

でも、それ以上に深謝申し上げたいのは、不安の裡に試行錯誤を重ねてきた“自家製療育”の、最も混迷が深かった高校受験期から大学受験期の3年間、親子共々、折に触れ愛読してきたブログを通じ、「それが正解ですよ」「それで良いんですよ」と答え合わせして下さっているように幾度も『励ます力』を分け与えて戴いた恩義なのです。

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支援者でも専門家でもないけれど。学生の頃からヒトの脳の働きを、好奇心と敬意と仁愛を以て自学してきた私にとって、娘への障害告知は、それまで興味深く観察してきた彼女の奇妙な行動に対する、明晰な“解題”でもありました。

保育園の先生が、公的機関へ臨床心理士の派遣を依頼しませんか、とご提案下さった時。何の躊躇も無く「お願いします」と即答できたのは、モノ並べもクレーン現象も常同運動も、写真やビデオで記録してきた母親として理の当然。

精密検査まで受けた聴覚には、何ら異常がなかったのに、発語・発話には顕著な遅れ。加えて、3歳半で誰も教えぬ間にひらがな・カタカナが読めるようになり、指し示された級友の氏名を精確に音読できる一方、お友達本人に対しては全く関心を示さない。

となれば、臨床心理士から定期的な観察の必要を申し渡された時点で、率直に我が子が抱える“多様性”を受け容れ、然るべき対処を覚悟するのは、至極当たり前な『客観的な認識』だったのですが……