2015年4月25日土曜日

センター試験の憂鬱

時節外れの大学受験ネタ、しかも連投で恐縮ですが。

とにかく30年振りでしたし、受験生の親ってのは所詮、当事者じゃないのでw
勿論あれこれ気は揉みましたが、正直いろいろ面白かったんですv

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30年振りの大学受験で次に大きかった変化は、センター試験の重要性が、思うに企画運営者の意図を遙かに超えて、過剰なほど増してしまった件です。

25%未満だった大学進学率が約50%にまで上昇した20年間は、共通一次が1990年に大学入試センター試験へ変更されて以降、私立大学もセンター試験の成績を利用するよう奨励され、試験自体も汎用性を高めて来た期間に、ほぼ合致してます。

同時に文科省は、大学の新規開校や短大の四年制化・学部新設や組織改編によって、募集定員の拡大を推進。大学進学率の向上を目指したこれらの施策は、2009年度に50%の大台へ乗るまで、至極順調に奏功していたかに見えたんですけど……

「大学へ行く子・行かない子」が、ほぼ五分五分という拮抗状態は、依然として継続中。実態に即した言い方をすれば、「大学へ行ける子・行けない子」という形で経済格差・地域格差の二極分化が表出し、進学率の伸びに歯止めを掛けています。

大学進学率を本気で上昇させたいなら、「(学力的には)行けるのに(諸般の事情で)行けない子」の支援策をこそ、定員増と連携させるべきだったのですが。所詮は省内方針に過ぎず、小手先のセンター試験汎用化より遙かに莫大な予算が必要な、奨学金制度や障碍者支援体制の大幅な拡充を、敢行する気概は毛頭無かったらしく。

ならば片落ちの施策で、センター試験の重要性のみが過剰に増した件は、「大学へ行ける子・行けない子」の二極分化へ、どう寄与してしまったのか?

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国公立だけでなく、私立大学の入試にも汎用できるようになった、センター試験

公式サイトの『センター試験の役割』を拝読すると、『最適な大学入試の実施』という理想に向けて、この四半世紀ホント頑張って来たんだ!と、思わず共感しちゃいますけど。畢竟、入学試験を実施する側の視点なんですよね……

受験する側としてもチャンスが一挙に増えたでしょ、と仰りたいのでしょうが。汎用化というのは、言い替えれば試験方式の煩雑化ですし。出願できる機会が増えたことは、センター試験に負荷される重圧も、グンと増したということ。

この辺の機微に、拙宅のへっぽこ娘でもどうにか対応できたのは、指導が手厚い私立高校で懇切丁寧なご対応を戴けたからだと思います。

加えて、出願も受験もタダじゃ済みませんから。親からすれば、入試期間中の必要経費がグンと増えちゃったワケで。特に地方にお住まいのご家庭は、旅費・宿泊費を鑑みれば、安易に受験チャンスが増えた!なんて到底喜べないでしょう。

結局、経済的に一定の余裕がある・大学が多数集中する大都市圏のご家庭が専ら、センター試験の恩恵に浴すこととなり。企図に反して、経済格差・地域格差の二極分化を大学進学率として表出させる、一因となってしまったのでは?

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四半世紀の間、失態を逐一あげつらう声にもめげず、頑張って来たのに。『最適な大学入試の実施』という理想には到達し得ず、遂に教育再生実行会議から廃止を提言されてしまった、“センター試験の憂鬱”へ大いに同情しつつ。

試験を企画運営する側の……てか実態に即した言い方をすれば、都内在住でお子さんを中高一貫私学へ通わせてらっしゃるであろう、文科省官僚の視点ではなく。

地方にお住まいで公立校へ進学させるのがようやく、というご家庭であっても、お子さんが四年制大学進学のリアルな希望を抱き、努力するチャンスを増やす方策こそが『最適な大学入試』という、国政を執るに相応しいメタな視点で。

ご尽力下さる事こそが、“憂鬱”を払拭する正道と、何卒お気づき戴けますように。


2015年4月19日日曜日

温故知新の大学受験

ちょうど30年振りの大学受験を堪能している間に、ブログの更新が2ヶ月も滞ってしまいました。あ、この度の当事者は無論、娘です。

なので、タネを明かせば『どうして名古屋大学に?』は、センター試験を半月後に控えた娘へ宛てて、殊にわざわざ太字にした件なぞ、私自身の経験を懇々と言い聞かせていたようなもの(あ、娘の第一志望は、名大じゃなかったんですがw)。

『2015−1995=20 〜大寒〜』が「1月16日」に間に合わなかったのも、実は今年度のセンター試験初日が1月17日だったためで。更に上梓が一週間も遅れたのは、センター終了後の自己採点で、目標へ遙かに及ばぬ惨憺たる結果が判明したゆえ。

2月に入っていよいよ筆が重くなり、下旬を以て遂に更新が休止してしまった次第は最早、仔細に綴らずともお察し戴けるかと存じます。

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30年振りの大学受験で最も大きな変化は、25%未満だった進学率が約50%にまで上昇した件でしょう。進学者数で比較すれば精々1.4〜1.5倍ですが、少子化で『高等学校及び中等教育学校後期課程本科卒業者』の総数が減ったため、率としては2倍増。

すなわち「大学へ行く子・行かない子」の、二極分化が生じたことになります。

それから、参照先の数字だと判りにくいんですが。30年前、女子は高卒で就職する場合も少なくありませんでしたし、進学しても四年制大学より専門学校や短期大学が主流。対して現在は、大学へ進むなら四年制を選ぶのが、断然多数派です。

しかし、受験生のお母様がたは、四年制大学を受験しなかった層が多数派なので。

ご自身が経験したことの無い“難関”へお子さんが挑むとなれば、心配が嵩じ不安が募るのも無理からぬ仕儀。受験生に甲斐甲斐しく付き添う親御さんの様子を、『過保護な親』と批判的に報道するだけじゃ、些か浅薄に過ぎるのでは?と思います。

あ、もっとも拙宅では、付き添いませんでしたよ。面倒くさいからw

受験当日だけでなく、受験校を決めた最後の個人面談も出願手続も、本人自身が考えて遂行するのが、お世話になった高校・担任の指導方針でしたし。第一、受験日程を自己管理できないようじゃ、大学へ入れたって箸にも棒にも掛かりませんし。

でも覚悟を据えた『肝っ玉母さん』で居られたのは、私自身の経験があったから。

そして、休止していたブログの代わりに、屁理屈を捏ねてずっと避けてたツイッタで、小説家たる心の師匠や、敬愛する描き手様や、脳の機能様式の多様性ゆえに生ずる難儀へ立ち向かう皆様と、『励ます力』を繋がせて戴けたから……なんです。

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最後にもう一人、昨年度の大学受験に当事者として果敢に挑んだ“彼女”へ、心からの御礼と励ましを……公立トップ高への意想外な合格以来、秘やかな疎外感を3年間耐え抜いたあなたの“結論”は、完璧と申し上げて良いほど優れた正論です。

『後悔しない』覚悟はきっと、必然にして最善の道へあなたを導くと信じてます。