前々回の記事では、金沢大学子どものこころの発達研究センターが監修した『自閉症という謎に迫る 研究最前線報告』を拝読しつつ、発達障害と称される(当事者研究の観点からすれば、五感や認知に凸凹を抱える)お子さん達でもリスクの大きな二次障害(不登校・ひきこもり等)へ陥ることなく就学・就労が叶う「育ち」を目指して、「うまくいっちゃう文化」をご家庭に醸成しませんか?と提案させて戴きました。
申し遅れましたが、「育ち」の場で醸成される「文化」こそ、「うまくいっちゃった」ケースへ落着させるために最も重要な徳目、という発想をご教授下さったのは、Z会進学教室・渋谷教室長の長野 正毅 先生。ブログやご著書で幾度も丁寧に説いて下さっている、「幸せに生きるヒント」であり「励ます力」の源泉であり、「どうしたら勉強ができるようになるか」という秘訣だったりもするのです。
あれ? 発達障害と診断されても、不登校・ひきこもりに陥らせない話だったのに……
「どうしたら勉強ができるようになるか」ていうのは「普通」の子たちの話でしょ?
読んで下さった皆さんが、そう疑問に思って下さったなら、誠にありがたい。
実の所、発達の凸凹が「育ち」の本質を損なってしまうわけではありません。
「育ち」の本質は、成長。
「幸せに生きる」力を身につけていく、お子さんの変化です。
なのに「育ち」に関わる大人たちが、「みんな」より優るか劣るかこそ重要だと勘違いして、「普通」と称される基準を設定してしまうから、人間なればこそ本来「個性」と呼ぶべき「多様性」に「発達障害」のラベルが貼られてしまう、と私は思うのです。
なればこそ「どうしたら勉強ができるようになるか」という秘訣は、「どうしたら就学・就労できるようになるか」に応用可能。発達の凸凹が有っても無くても、お子さんが就学・就労に『向いた文化圏で生活しているかどうか』を意識して戴きたいのです。
例えばの話。お子さんが通う学校に対して、親御さんが常日頃、懐疑的な態度を示してらっしゃる『文化圏で生活している』としたら、どうなるでしょうか?
2016年5月31日火曜日
2016年5月8日日曜日
『それ町』第15巻感想!
『とうとう歩鳥が修学旅行に行きました。』
てなワケで、賑々しくフルカラーで始まりました第15巻。原則、3の倍数で巻頭カラー仕様な『それ町』単行本(今のところ第6巻のみが例外。代わりに?第4巻冒頭がカラーページになってます)ですが、同好の諸姉諸兄に於かれましては、ぜひ第9巻・第12巻もお手元にご用意の上、最新刊と併せて存分にご堪能下さいますこと、謹んで激しくオススメ申し上げます。
そのワケは、第9巻に所収された『それ町』史上屈指の名篇・第71話「歩く鳥」が、単行本数にして6巻・初版発行日にして4年8ヶ月の時を経た後、第15巻掲載の第115話「飛ぶ鳥」そして第121話「立つ鳥」へと、目出度くも果報な大団円を遂げたから……
第71話と言えば、第13巻の第104話「暗黒卓球少女」で、強烈な伏線回収を拝読叶った感銘に滾るあまり、書き手自身が読み返してもワケワカラン拙文を綴ってしまいましたけど。
「嵐山の畔(ほとり)」という成句の単なる語呂合わせで賦与されたと思しき、主人公の名を読み下した「歩く鳥」に想を発し「飛ぶ鳥」「立つ鳥」と想を連ねて描出された、歩鳥の愛すべき粗忽と敬すべき洞察が、『甘えん坊で面倒な』紺先輩の心地好く居られる場所を、少しずつ穏やかに拡げて行く無敵の向日性こそ、『それ町』の醍醐味。
とは言え、変身出来なくても魔法が使えなくても世界を救わなくても、底知れぬ包容力を天然自然に(ひょっとしたら作者の企図をも超越し)発揮してしまう駄メイド女子高生・歩鳥が、フラグをへし折り予定調和を打ち破りお約束展開を飛び越えて、せせこましくも『濃い時間』を目まぐるしくも『楽しい思い出』へ毎度鮮やかに導いてしまうから……
第12巻の第96話『幽霊絵画』で一見唐突に、無礼千万な“描く力”を賦与されて登場した「涼ちん」こと室伏 涼 嬢の存在意義が、俄然、重要性を増してくるワケなのです。
なにせ登場人物随一のメタな視点に在った、“師匠”たる亀井堂 静女史との『因縁の関係』も、単行本数にして11巻・初版発行日にして7年9ヶ月の時を経た後、SF厨なヘタレ字書きが泣いて喜んだ洗練の第14巻で、鮮やかに回収されちゃいましたからねぇ。
例のごとく、男子高校生の純情可憐なアホらしさ&女子高校生の傍若無人な愛らしさを以て、読者を呵々大笑させて下さる石黒 正数 氏の“描く力”を存分に堪能しつつも……
巧みに置かれた布石の回収と主人公の高校卒業を以て、終幕を迎えるであろう今作が、変身出来なくても魔法が使えなくても世界を救わなくても、人の世をより良き方向へ誘う「日常の奇譚」として既存のマンネリズムを軽やかに超越し、「奇譚の日常」として定石の踏襲だけが“語る力”じゃないんだよ、って証して下さるものと絶賛待機ちう。
森秋先生をして『嵐山と室伏は同じタイプの人間!』と戦慄せしめ、更に歩鳥をして『失礼はなはだしいにも程がある事この上ないったらありゃしない!!』と憤慨せしめた「涼ちん」の、尾谷高校&丸子商店街の平和にグイグイ割り込んで来ちゃう活躍にこそ、『それ町』ならではの妙味を是非ともご賞玩戴きたい転進の一冊。安定のオススメです!!!
てなワケで、賑々しくフルカラーで始まりました第15巻。原則、3の倍数で巻頭カラー仕様な『それ町』単行本(今のところ第6巻のみが例外。代わりに?第4巻冒頭がカラーページになってます)ですが、同好の諸姉諸兄に於かれましては、ぜひ第9巻・第12巻もお手元にご用意の上、最新刊と併せて存分にご堪能下さいますこと、謹んで激しくオススメ申し上げます。
そのワケは、第9巻に所収された『それ町』史上屈指の名篇・第71話「歩く鳥」が、単行本数にして6巻・初版発行日にして4年8ヶ月の時を経た後、第15巻掲載の第115話「飛ぶ鳥」そして第121話「立つ鳥」へと、目出度くも果報な大団円を遂げたから……
第71話と言えば、第13巻の第104話「暗黒卓球少女」で、強烈な伏線回収を拝読叶った感銘に滾るあまり、書き手自身が読み返してもワケワカラン拙文を綴ってしまいましたけど。
「嵐山の畔(ほとり)」という成句の単なる語呂合わせで賦与されたと思しき、主人公の名を読み下した「歩く鳥」に想を発し「飛ぶ鳥」「立つ鳥」と想を連ねて描出された、歩鳥の愛すべき粗忽と敬すべき洞察が、『甘えん坊で面倒な』紺先輩の心地好く居られる場所を、少しずつ穏やかに拡げて行く無敵の向日性こそ、『それ町』の醍醐味。
とは言え、変身出来なくても魔法が使えなくても世界を救わなくても、底知れぬ包容力を天然自然に(ひょっとしたら作者の企図をも超越し)発揮してしまう駄メイド女子高生・歩鳥が、フラグをへし折り予定調和を打ち破りお約束展開を飛び越えて、せせこましくも『濃い時間』を目まぐるしくも『楽しい思い出』へ毎度鮮やかに導いてしまうから……
第12巻の第96話『幽霊絵画』で一見唐突に、無礼千万な“描く力”を賦与されて登場した「涼ちん」こと室伏 涼 嬢の存在意義が、俄然、重要性を増してくるワケなのです。
なにせ登場人物随一のメタな視点に在った、“師匠”たる亀井堂 静女史との『因縁の関係』も、単行本数にして11巻・初版発行日にして7年9ヶ月の時を経た後、SF厨なヘタレ字書きが泣いて喜んだ洗練の第14巻で、鮮やかに回収されちゃいましたからねぇ。
例のごとく、男子高校生の純情可憐なアホらしさ&女子高校生の傍若無人な愛らしさを以て、読者を呵々大笑させて下さる石黒 正数 氏の“描く力”を存分に堪能しつつも……
巧みに置かれた布石の回収と主人公の高校卒業を以て、終幕を迎えるであろう今作が、変身出来なくても魔法が使えなくても世界を救わなくても、人の世をより良き方向へ誘う「日常の奇譚」として既存のマンネリズムを軽やかに超越し、「奇譚の日常」として定石の踏襲だけが“語る力”じゃないんだよ、って証して下さるものと絶賛待機ちう。
森秋先生をして『嵐山と室伏は同じタイプの人間!』と戦慄せしめ、更に歩鳥をして『失礼はなはだしいにも程がある事この上ないったらありゃしない!!』と憤慨せしめた「涼ちん」の、尾谷高校&丸子商店街の平和にグイグイ割り込んで来ちゃう活躍にこそ、『それ町』ならではの妙味を是非ともご賞玩戴きたい転進の一冊。安定のオススメです!!!
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