2017年8月26日土曜日

Who're their Mentors?

当事者が 子どもでも成人でも 個性が 早熟でも晩熟でも
直面する支障が 集団教育への不適応でも ひきこもりでも

二次障害を回避/回復し自立を支える第一歩は、当事者が一人で群れずに熱中できる「好きなこと」 を共に愉しみながら、彼らに潜在している創造力を暗示する藁のように些末な事象も見過ごさず、糾って縄へ拵えるような工夫が叶うメンターをさがすこと

そして、最終学歴が中等教育でも高等教育でも、特性に付与された名が多様性発達でも発達障害でも、自立を叶えるのはメンターを介して習得する大人のリテラシーであるがゆえ、親御さんが我が子の自立を支えたいと願いつつも、彼らの「好きなこと」へ共に熱中できないなら、暫定的な「メンター(仮)」を務めるのが精々。お子さんの未来を見据え「得意を伸ばす」には、家庭の埒外でメンターをさがすほか術はありません。

つまるところ、娘の五感や認知の凸凹という「苦手を避け」ヘッポコ母ちゃんの兼任するメンター(仮) が構造的・弁証的に「配慮と我慢」の必要を体験させることで、社会と呼応する知恵の自得を促してきた拙宅流の就労支援の「予習」は、娘なりに「藁」のような些末な事象も撚り集め懸命に糾った「縄」すなわち大学で培った人脈を手繰って、家庭の埒外に正真正銘のメンターを探し当てるまでの移行的措置だった、という次第。

今後は、他者と繋がる知恵=対人性能や他者へ資する知恵=代行性能の不備を自家メンター(仮) が補塡しつつも、大局的には娘自身がメンターと心に定めた師匠から、知識と知能=専門性能の切磋に併せ大人のリテラシーを伝授戴いていくことになります。

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では、お子さんが師事すべきメンターって一体どうやってさがしたらよいのでしょう?

史上最年少で将棋のプロデビュウを果たした藤井聡太 四段のように、職能へ直結しうる大人顔負けの「得意」が明瞭なら師匠の探し方に迷う余地もありませんが、五感や認知の凸凹を抱えるお子さんの大部分はむしろ晩熟型「職業人として何を為すか そのために何を学ぶべきか」という認知を確立していく高等教育の途上で、中等教育までの得意教科に惑わされることなく一人で群れずに熱中できる「好きなこと」−−− 学力や職能へ繋がる「得意」に合致するとは限りません −−− へ接点を求めるべきなのでしょう。

と言うのも、「普通」の枠に寄り掛からない「特別」な育ちを要するお子さんが中等教育まで相対的な好成績を上げていた教科 −−− 算数・数学、理科や社会が定番のようです −−− は、事実情報の集積に優れた脳の機能様式と相性が良かっただけで、潜在している創造力の反映とは必ずしも言えないのです。真正の「得意」なら学業のみに留まらず、一人で群れずに熱中できる「好きなこと」へ昇華されている −−− たとえ高得点・好成績という報酬が無くても、興味関心の趣くまま自発的に探求している −−− 筈だからです。

ところが、受験科目という観点で相対的な学力ばかりに気を取られ、例えば数学や理科の成績が良いから理系へ行けば良いとの短絡で進路を定めてしまった場合、高校までと打って変わって実習が一挙に増え語学や人文社会科目の必修も一定課せられるカリキュラムへ順応しきれず、不登校や履修不全に陥ったケースが往々にして生じている模様。

となれば、正真正銘の「得意」が未だ明瞭でない当事者の高等教育段階での進路の選び方 −−− メンターをさがす人脈の始点として、非常に大切 −−− は、叶う限り学際的であるべきだと私は考えています。最高学府に相応しい知識と知能=専門性能の萌芽がお子さんにあるなら親御さんには大いに奨学なさって戴きたいのですが、専門の選択は叶う限りの先送りをお奨めしたいのです。昔風なら教養学部文理学部、昨今の改組ですと総合科学部人間科学部と呼称するようになった学際的な課程を是非ご検討願いたい。

お母様がたの実感からすれば、極端に幼い所があって覚束ないからこそ得意教科を活かして早く専門性や技術を……と先走るお気持ちは拝察しますが、自発的な探求まで昇華されていない学力や職能は一旦つまずいてしまうとゲームやネットへ −−− もっと安直に高得点・好成績という報酬を得られる体験へ −−− 置き換わるだけ、と重々ご承知おき願います。ご事情が許す最大限で、学生としてのモラトリアムを推奨したい所以です。

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大学では、学業だけでなくサークル活動もメンターに繋がる人脈を糾っていくため大切な拠点むしろ他者と繋がる知恵=対人性能や他者へ資する知恵=代行性能の発露を促す上では、共に熱中できる「好きなこと」を介した安定的な関係性の方が学業より有効ですし、単位や成績の縛りが無い環境こそ、小さな「失敗体験」を積んで生来の凸凹に対する「配慮と我慢」の自得の要を当事者が理解していくために打ってつけなのです。

ただし入会に際しては、お子さんの「好きなこと」を第一に選ぶのは無論ですが運営幹事や年間行事などの体制がきちんと定まった、いわゆる公認サークルをお奨めします。対人性能代行性能を養う「失敗体験」を積むための親御さんによるサポートがしやすいことに加え、伝統のあるサークルは卒業した先輩がたが活動に関わって下さる機会も期待できるので、メンター探しの布石を置くという意味でも大きな利点となります。

仮に学業の方で何某かの不適応が生じ留年休学という事態へ到っても、熱中できる「好きなこと」でメンバーと一緒にサークル活動へ打ち込めているなら、他者と繋がる知恵や他者へ資する知恵が確実に発露し自己理解の基礎となる所属意識が育まれ始めた証左です。どうか親御さんがたには、単位が取れていないなら退学して働きなさい!などと短慮へ走らず、家庭の埒外でメンターに巡り逢うことの重要をこそ優先願いたい。

最終学歴が中等教育でも高等教育でも、その学校生活は多様性発達者が社会で必要とされる力を教育インフラを活用して発現させるラストチャンス。単位を満了し高卒・大卒という肩書きを手に入れるだけでは、社会と呼応する知恵の自得は決して促せません。

親御さんが我が子の自立を支えたいと望みつつも、その価値観がお子さんの「好きなこと」と一切交わろうとしないご家庭では、辛うじて「ひきこもらせない文化」の醸成は叶ったとしても「うまくいっちゃう文化」への熟成は極めて難しいでしょう。でも子育てを主導なさってきたお母様がたが、迷妄する彼らの「好きなこと」を尊重し家庭の埒外にメンターを求めようと覚悟を据えれば、希望へ向かう好転の道筋が見えてきます。

当事者にとって自立を叶える第一歩は、「好きなこと」 を共に愉しみつつ彼らに潜在している創造力を糾ってくれるメンターへ、自らの向上を目指して入門を決断する意志
そして彼らのメンターは「好きなこと」 の先達として、尊敬できる「大人」なのです。

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