2014年4月13日日曜日

うつくしきもの

『なにもなにも、小さきものは、皆うつくし』

千年以上前、この至言を以て、“小さきもの”達への愛を、熱く表明して下さった
先達が、“うつくしきもの”(現代語では、可愛らしいもの)を綿々と綴った段。

幾度も繰り返し(さっき数えてみたら5回も!)、その仕草を様々に描出しては、
『うつくし』『らうたし(今で言えば、愛おしい)』と、激しく“萌え”を滾らせて
らっしゃるのが、『ちご』すなわち、乳飲み児=赤ん坊だったりする。

他にも『雀の子』や『鶏の雛』、子供であれば『大きにはあらぬ殿上童』とか
『八つ、九つ、十ばかりなどの男子』も(正に“ショタ”ですね)挙げておられるが。

清少納言こと諾子(なぎこ)様には、赤ん坊が一番の萌えポイントだったらしい。

個人的にも、激しく同意!

矮小なくせに、標準サイズのものと全く同じ性状を一人前に備えてる点こそが、
“小さきもの”達が『かわいい〜vvv』という情動を著しく刺激する所以だと思うし。

成人身長の1/4〜1/3、体重は1/25〜1/10くらい。なのに精緻を極めた再現性!(違)
しかも、いっちょまえに“意志”を持ってて、勝手に動き回っちゃったりもする。

更に、“マイナー贔屓”を全開にすれば、赤ん坊の中でも、新生児こそ一押し!

いやいや。自覚しておりますよ〜。たいへんマニアックな嗜好である事は。

特に分娩直後は、羊水でふやけちゃってプヨプヨした感じだし。眼が開いても
視力が出てないせいもあって、寄り目になっちゃったり。写真を何枚撮っても、
変顔だし。誰もが『かわいい〜vvv』と反応できるビジュアルじゃないですよね。

でも、ホラ。手指をよ〜く御覧になってみて下さい。

桜貝を薄く削り出したような、繊細にして精緻な爪が、1本に1枚ずつ付いてて。
関節にも、あなたの指とソックリな皺が、キチンと律儀に刻んであるでしょう?

誰が拵えたものでもなく。
たった一つの、細胞から。

いまだ、ヒトの手では再現できていない、奇跡の御業が。
けれど、ヒトの胎内で天然自然に起きた、生命の営為が。

ひたすらに尊く健気で……心の奥に『うつくし』という情動を喚起しませんか?

しかし、全体像に目を遣れば、正直言ってシュールで……正にギャップ萌え!
そして、新生児は生後28日未満まで。生まれてから4週間の“期間限定”という
レア感も、“小さきもの”マニアの心を、イイ感じでくすぐってくれるのです。

生まれたばかりの赤ちゃんを迎えた御家族は、大きな大きな喜びと一緒に、
かけがえのない大切な、けれど小さくてか弱い生命を、守り育てる重責で、
きっと、大きな大きな不安も、感じていることでしょう。

でも、大丈夫。その不安は……

地球に、ヒトという生物が誕生して以来、連綿と感じ続けて来た気持ち。
千年以上前にも、『うつくし』『らうたし』と綴られた気持ちですから。

病院の待合室や、お買い物の途中。
久し振りに出た街角や、電車の中。

赤ちゃんを笑顔で見遣りつつ、『かわいい〜vvv』と“萌え”を滾らせてる誰かに
出遭ったら。御家族の不安も、思い切って、ちょっぴり打ち明けてみて下さい。

我らが“小さきもの”マニアの同志諸氏は、きっと、心から気遣ってくれる筈です。


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