2014年6月23日月曜日

「山下清展」取材日記

視覚の天才(1)』は、展覧会のレビュウと言うより『私的 山下清論』になっちゃいまして、恐縮でしたが。

長野県信濃美術館の「放浪の天才画家 山下清展」は、画伯のお人柄がジンワリ伝わって来る、とっても素敵な企画展でしたv 

訪れたのは5月末日。つまり、会期最終日の前日に当たる土曜です。今回は時間に限りがあったため、お馴染みの東山魁夷館はパスさせて戴き……

正面入り口への階段に、画伯の自画像がディスプレイされてました

企画展会場となっている、1966年竣工の旧館のみ見学。入場すると、生前の山下清を御存知であろう、御年輩の方々から、お子さんの手を引いていらした、お若いお母様方まで。ご来館の皆様は幅広い年齢層で、和やかな雰囲気です。

記録映画『はだかの天才画家 山下清』を放映中の受付ロビーには、「祝 来場2万人」の愛らしい“くすだま”が飾られてました。ちなみに長野市の人口は約38万人なので、平均すると19人に1人は来場なさった感じです。

展示を一巡後、ミュージアムショップで、『パリのエッフェル塔』のクリアファイルと、清美社(山下清作品管理事務局)発行の『山下清作品集』を購入。企画展仕様の作品集も、あったんですが。参考資料にしたかったので、掲載作品数が多い&作品修復の記事や略年譜が詳細な方を、選びました。

下から重ねた順に、出品目録・クリアファイル・作品集・入場券

本篇中では、言及出来ませんでしたけど。1961年のヨーロッパ旅行中に描かれたペン画水彩作品は、いずれも素晴らしく洒脱。洗練を極めた闊達な描線と、温かみのある穏やかな色彩は、50年以上経った今でも古さを感じさせません。

特に、ペン画水彩の“最高傑作”として一押し!なのが『パリのエッフェル塔』。

伝えられる所では、下絵無し・用具無しのフリーハンドで、画面の下から上へ、淀みなく一気に描出して行くのが、画伯の常だったようですが……

この絵に限っては、道路の真ん中に立ってる
交通整理のお巡りさんから描いたのかな〜?などと妄想w
端正なパースペクティブと精緻な描線が超絶美味なのですv (ジュルル)

『きれいな景色やめずらしい物』を、ボンヤリ眺めているだけのように見えて。
山下清の脳裏では描くべき絵が、精細な解像度と澄明な色彩を伴った映像記憶として、細部に至るまで完璧に構成されていたんですね!

***

さて美術館を出ると、同行してくれた地震・防災クラスタな相方が、善光寺に寄りたいと所望。何度もお参りした事あるのに、なぜ今更? 

まぁ、美術館がある城山公園のすぐ近くだし、構いませんけど……

本堂向かって左の回廊に、用があるらしい……なんだろ?
あれっ? 柱に大きな傷痕が!
善光寺地震の際、梵鐘が落ちてぶつかったそうで……ひゃあ、知らなかった!
ちなみに、この鐘は戦後に寄進された物。当時の梵鐘は戦時徴用されちゃったのかな?

1847年5月に発生した善光寺地震は、推定マグニチュード7.4。折悪しく御開帳の真っ最中で、市中だけでも死者2千人を超える被害があったとのこと。柱の傷には何の掲示もありませんが、境内に犠牲者の回向を祈念する塚があります。

この後、大門脇の八幡屋礒五郎で、当代ご店主が考案した七味マカロンをお土産に。北陸新幹線開業を来春に控え、駅前・駅舎絶賛工事中な長野駅から、あさま536号で(鉄分多めでもある相方は、E7系グリーン車試乗もバッチリ織り込み済みw)レッグレスト付きシートの心地好さに爆睡しつつ、帰京しました。


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