2018年6月27日水曜日

「親になる」のは難しくない?

『子育ては難しい?それとも難しくない?』

いつも拙文へのご愛顧を賜っておりますサポートセンター名古屋ヒロさんから、こんなご下問を頂戴しました。それにお答えするため、「育つ」行為の主体はお子さんなのに親御さん主体で「子育て」を成功させねば!とお考えだから、『子育ては難しい』『難しい子育て』と溜息を吐く顛末へ到ってしまう。つまり「子育て」という概念にこそ「難がある」と、ホントは3行足らずで済む話を長々と説明させて戴いたのが前回

今回は、じゃあ「parenting(直訳すれば「親になること」)という概念を以て向き合いさえすれば、たとえ生来の五感や認知に凸凹があって「普通」の発達過程をたどる「みんな」と同じペースで「育つ」ことが叶わなかったケースでも、我が子の「育ち」を支え将来の希望へ導くことは『難しくない → 簡単』なのだろうか?というお話です。

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結論から先に言ってしまえば、『難しくない → 簡単ですよね?』というヒロ師兄の問いかけには、ぃやぃや〜簡単じゃないですよ〜とお答えを返すことになります。

殊に師兄の場合、ご自身で繰り返し綴っておられるように『自分が失敗したことを客観的に見て、どうすればよかったのかが わからないとダメ』な『座学や自分で本を読んだだけでは 理解できない』特性をお持ちなので、いっそう簡単ではないでしょう。

ただし「親になる」ことは、事前に『あらゆることを経験して失敗して そこから学ん』でおくことが、誰にとっても不可能。『座学や自分で本を読んだだけで』理解する力がある「普通」の発達過程をたどった「みんな」でも、簡単である筈が無いのです。どんな子の「親になる」か、産まれて/育んでみないことには全く判らないのですから。

『子育ては難しい』『難しい子育て』と溜息を吐いてらっしゃる親御さん方が、考え違いをなさっておられる最も重い誤解も、たぶんそこだろうと私は拝察しています。

お子さんが不登校や不就労といった社会への不適応に陥り、うまくいかない「子育て」で悩む顛末へ到った所以は、産まれて/育んでみないことには全く判らない我が子に即し、どんな「親になる」か決していくべきだったのに、『座学や自分で本を読んだだけで』あるいはご自身が「普通」の発達過程をたどって来た中で、習い性としてきた親御さんの嗜好や価値観に即し事前に「子育て」の理想を描き予定を立ててしまったから。

『子育ては難しい』『難しい子育て』と行き詰まっておられる旨は誠にお気の毒ですが、辛辣な物言いご無礼ながら「parenting」という概念を以て娘との関係性を築いてきた視座から拝見すれば、手前勝手に描いて来た「子育て」の理想が破れた・予定が崩れた、と親御さんご自身の考え違いを棚に上げ右顧左眄しておられるに過ぎないのです。

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以上のような見方をすれば、『自分が失敗したことを客観的に見て、どうすればよかったのかが わからないとダメ』な『座学や自分で本を読んだだけでは 理解できない』特性をお持ちなヒロ師兄の『難しくない?』というご下問には、簡単じゃないけれど事前に勝手な理想や予定をお立てになれない分、定型発達症候群に陥っている「みんな」よりずっと我が子に即した「parenting」がお出来になれそうとの結論になります。

そして前回の最後、ヒルマ小母ちゃんの感想は「Parenting is just Wonderful!!!(「親になる」って尊い!!!」だったと申し添えましたが。「Parenting」という概念を以て生来の五感や認知に凸凹がある子どもと向き合う上で大切なのは、次から次へと起こり続ける「wonder」(意訳すれば「想定外」)を「理想が破れた・予定が崩れた」と難しがらず「理想は仮想・予定は未定・大丈夫は、だいたい丈夫!」と楽しく感応できる心です。

『ドラゴンボール』『スターウォーズ』Sense of Wonder を磨いてきたヒロさんなら、きっと「うまくいっちゃう」はず!と蔭ながら信頼申し上げております。

>>前篇『Parenting is Difficult or Not?』を読む

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