2018年6月25日月曜日

Parenting is Difficult or Not?

『子育ては難しい?それとも難しくない?』

いつも拙文へのご愛顧を賜っておりますサポートセンター名古屋ヒロさんから、こんなご下問を頂戴しました。ヒロ師兄へは3年前のクリスマス・イヴに、「いかなる無理難題でも、パワー全開でお応えするのが、師妹の勤め」との誓詞を啓上しております。

それに加えて、『子育ては難しい』あるいは『難しい子育て』という文言を、殊に専門家を名乗って発信しておられる御仁が、頻繁にお使いなのをお見かけする度、へそ曲がりなヒルマ小母ちゃん「なんだかなぁ」と居心地の悪さにムズムズしていたところ。

とは言え「いぃや、難しくないですよ!」と反駁したいがため、『子育ては簡単なんですよね?』と問われれば、それもちょっと違うかなぁと思うんです。

***

そもそも「子育て」って日本語が、私は気に入らなかったりw
アメリカですと「parenting(直訳すれば「親になること」)という言葉を専ら使っているようですが、そちらの方が行為の本質を表現できている、と私は感じるのです。

ヒロ師兄の「言葉遊びで、お茶を濁すのか〜?」という声が聞こえて来そうですが、落胆するなかれ。人間てのは、どんなに視覚優位な感覚の凸凹をお持ちの皆さんでも、深く思考するには「言葉」を使わねばなりません。いわゆる「概念」てヤツですが、困った事に遭遇して頭を悩ませねばならない時こそ、コレが大きく影響して来るんですよ。

では、ヒロ師兄が『ご両親の要請で面談に同席』なさった親御さん方は、一体どんな困った事に遭遇して、頭を悩ませねばならない状況へ陥ってらっしゃるのか?

「だーかーらー子育て、ですよ!みなさん、子育てに失敗して悩んでる、って書いたじゃないですか?」とヒロ師兄からツッコミ入りそうですが。はい、その「子育て」という言葉をマルッと「parenting」へ差し替えてみて下さい。日本語直訳なら「親になること」ですけど、皆さんは「親になること」に失敗しちゃっておられるんでしょうか?

そんなことは、ないですよね。ご多忙の合間を縫ってサポートセンター名古屋へ連絡を取り、ご多用を遣り繰りして面談の時間を拵えて下さったのですから、皆さんは「親になる」という行為に於いて叶う限りの最善を尽くそう、と努めてらっしゃる。そんな親御さんに対して「parenting」に失敗した、と決めつける輩こそ唾棄すべきでしょう。

***

そもそも「子育て」という概念が、たくさんの問題の根源になっている、と私は考えています。本来「育つ」行為の主体は子ども自身である筈なのに、「子育て」という概念ゆえ親の方へ主体が偏向させられてしまっている。

特にお子さん生来の五感や認知に凸凹があり、「普通」の発達過程をたどる「みんな」と同じペースで「育つ」ことが叶わなかった場合、行為の主体が親御さんへ偏向させられているご家庭で、子どもを主体とした(いわゆる当事者本位の)サポートが実現せず親の価値観に沿った方策ばかりが施された結果、二次障害へ増悪させる例が後を絶ちません。

大統領さんの ご家庭も  名無しさんの ご家庭も  東大さんの ご家庭も
Mr. Joeの ご家庭も  俊介さんの ご家庭も  ジャイアンさんの ご家庭も

そしてヒロさんのご家庭も、「育つ」行為の主体はこの子自身なのだから、この子が「できないこと」を「できること」にするまで根気強く支えて行こう、と親御さんが「parenting」の概念で深く思考を巡らせて下さっていたら、重篤な二次障害に頭を悩ませねばならない状況へ、きっと陥っておられなかっただろうと私は考えているのです。

改めてヒロさんから頂戴したご下問にお答えすれば、「育つ」行為の主体はお子さん自身なのに、親御さん主体で「子育て」を成功させねば!とお考えになるから、『子育ては難しい』『難しい子育て』と溜息を吐く事態へ到ってしまう。つまり『難しい?それとも難しくない?』という話ジャナクテ「子育て」という概念にこそ「難がある」のです。

そして最後に、妊娠・出産を在米中に経験したお陰様で「parenting」という概念を以て娘との関係性を築くことが叶った、ヒルマ小母ちゃん自身の個人的感想は「Parenting is just Wonderful!!!(「親になる」って尊い!!!)」だった旨を申し添えておきます。

>>続篇『「親になる」のは難しくない?』を読む

0 件のコメント:

コメントを投稿