2014年9月9日火曜日

仲秋の夜咄

“自宅警備員”な日常ではあるが、帰宅した家族が、慮外な話をもたらす宵もある。

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娘に持たせた弁当に、入れてやった半熟卵。

時間を計って頃合いに茹で、半分に割ってマジックソルトをはらりと振っただけ。実に他愛の無い惣菜だが、昼食を共にしたクラスメイトが、殊の外、羨ましがってくれたそうで。一切れ分けて上げたら『美味しい!』と感動された由。

哈爾浜生まれの彼女曰く、中国人は半熟卵を、まず、作らないらしい。

卵の大きさに応じて、黄身が色濃く滋味深く、白身が歯触り良くなる、最善の時分を見計らうだけ。それが妙味を最大限に抽き出す調理になるとは、なるほど、大陸には無い発想なのかも知れない。加熱が進まぬよう冷水に浸けてしまうのも、冷えた食事を絶対に受け容れない(娘の学友も、必ず保温ジャーで弁当を持参するとのこと)彼の国の人々には、有り得べからざる料理だろう。

半熟卵を賞味してくれた彼女と、温かい弁当を羨む娘が、いつまでも気の合う友人であってくれると、本当に嬉しい。

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仲秋の十五夜に、丸い月を言祝ぐのは、我が国のみに非ず

生まれ育った国の違いはあっても、望月を尊きものと眺める心根を、共に分かち合える僥倖を噛み締めつつ、今宵スーパームーンの満月こそ、と心待ちにしている。

半熟卵を十五夜と満月に見立てた『ガッツリ!鶏そぼろ丼弁当』
副菜は、キャベツとニンジンのコマ和え+ジャガイモの煮っ転がし鷹の爪風味

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