『竹橋』と言えば、拙宅の場合……
東京メトロ東西線の、副駅名にもなっている毎日新聞東京本社、ではなく。
さりとて、本社ビル建て替え工事中の小学館 (仮)@住友商事竹橋ビルでもなく。
『東京国立近代美術館 本館』の省略形、だったりする。
とは言え、2011年春に開催され、総入場者数 161,584人を記録した『岡本太郎展 : 生誕100年』と、毎夏恒例だった『夏休みトークラリー 2011』への参加を最後に。
上野の方へ出向く事が度々だった、ここ2年半ばかりは、すっかりご無沙汰。
そうこうする内、2012年には、開館六十周年を記念して、ギャラリー内装が全面リニューアルされたらしく。
展示のコンセプトも一新した模様、ということで黄金週間後半の連休初日に、所蔵作品展「MOMAT コレクション」行って参りました〜v
これまでは所蔵する名作・名品の数々を、「どや?参ったか!」と言わんばかりに、ガッツリ&ドッサリ大盤振舞の特盛りで展示。
画風・作風不問の悪食美術愛好家としては、他館で開催される企画展等へ“ご出張中”でない限り、アソコへ行けばアレが観られる(岸田劉生の『道路と土手と塀(切通之写生)』とか福田平八郎の『雨』とか、その他いろいろ)という安心感がございましたけれど。
あまりfine artに馴染みのない方にとっては、正直「スゴイのは充分判りましたから。もう勘弁して下さい (泣)」と、途中棄権したくなっちゃう、過酷な長距離コースw でしたからねぇ……
『20世紀初頭から今日に至る約100年間の日本の近代美術のながれを』概観できる『約200点をセレクト』、そして『それぞれの鑑賞プランに合わせ』『「好きな部屋から見る」、「気になる特集だけ見る」あるいは「じっくり時間の流れを追って見る」』ってのは。
美味しい所・好きな物だけ摘まみ食い出来る、“選べるお得なプリセットコース”って感じで、かな〜り取っ付き易くなったと思います。『出品作品リスト』に目を通し、気になる作品をチェックしておけば、猶良し。
で、今年度春〜初夏の、独断と偏愛に基づくお奨めは……
第1室は、自慢の収蔵品から選りすぐりの『精華を凝縮』した『「ハイライト」のコーナー』。中村彝の『エロシェンコ氏の像』や和田三造の『南風』といった、美術の教科書や日本史の資料集で「見たコトある!」な作品が前菜にピッタリです。
第2室〜12室は、大正〜昭和の戦前・戦中・戦後〜平成に至る、各時代の世相に沿った特集を展開。お好きな一品料理をアレコレ組み合わせて、随意に楽しめる構成となってます。
殊に第5室の、挿絵画家・岩田専太郎の『特攻隊内地基地を進発す(二)』と藤田嗣治の『アッツ島玉砕』は、共に合衆国から無期限貸与されている作品。恐らくはそれが為に、画像がデータベース登録されてなかったり。この機会に是非御覧戴きたい、戦争記録画です。
更に進んだ第10室では、奥のケースに展示された、川端龍子の大作が圧巻。黒と見紛う紺地の絹本に、文字通り燃え上がるような夏草の生命力を、金泥で豪奢に描き上げた『草炎』は、いつ見ても、息を呑む迫力!
ですが今回、特にお奨めなのが、初お披露目の『新樹の曲』。丁寧に整えられた植栽の一枝一葉が、緻密に描き込まれた端正な様式美に、思わずウットリ見蕩れてしまう、洗練を極めた6曲・2双の見事な屏風絵です。にしても、板塀越しの構図は何故なのか……描き手が込めた深い想いを、是非、解説にて御一読戴きたい作品。
他、奈良美智の代表作『Harmless Kitty』の落札購入を祝し、岸田劉生の『麗子肖像(麗子五歳之像)』や小出楢重の『ラッパを持てる少年』と対峙させた第12室の展示も、この美術館だからこそ、実現した趣向。
そして、あのChim↑Pomの動画『気合い100連発』や『BLACK OF DEATH 2013』が、『竹橋』で所蔵されてた事にビックリさせられたり。新生MOMATの強烈なメッセージを感じた作品展でした。
0 件のコメント:
コメントを投稿