旧知の女性が、なにやら煮詰まっておられる、と聞き及び……
何年か前まで、詩的な創作漫画やマイナー指向な旅行記の、“薄い本”を自主制作していた、広義の“お嬢様”(狭義の腐女子には非ずw)。なので、ひとまずCOMITIA 108へ、ご一緒しませんかとお誘いしてみる。
めっきりご無沙汰してた小母ちゃんの、唐突な勧誘はお節介以外の何物でもなく。
さぞかし面食らっただろう、と危ぶんだが、嬉しい事に快く応じて戴けた。
手に入れたばかりの一眼レフを、レイヤーさん目当てでご持参下さった件は、ご期待に添えず面目無かったけれど(コスプレ禁止のイベントが有るとは「思いも寄らなかった」そうで)。「刺激になりました♪」とのご感想を戴けたのは、誠に幸い。
実は、会場を見て廻ってた時間より、その後、カフェで喋ってた方が、長かったんですけどねw
彼女の屈託は、さして気の進まぬ儘、されど律儀に“婚活”を続けている事情、と入れ知恵されていた。会うのは数年振り、しかも、サシで話すのは初めて。でも、自然体で接して下さるのに勇気を得て、小母ちゃんは遠慮無く、要点に踏み込みます。
思いっ切り、細部を端折らせて戴けば。
「伴侶が欲しい」と言うよりも、「子どもが欲しい」ゆえの“婚活”である気配。
では何故、子どもを産みたいと欲するのか?
際だって理知的、且つ自身の“輪郭”を、十代の頃から明確に意識出来ていた彼女。なのに真っ先に挙げたのは、「Kさんが『子ども産むと若返るよ〜』と仰るので」との理由。厄介な事に、煮詰まってる、との情報提供者の弁は、大袈裟じゃなかった。
Kさん即ち、不惑を過ぎて元気に第二子を産んだ元同僚は、私も良く存じ上げている。溌剌として楽天的、裏表のないKさんの口癖は、屈託を抱えた彼女にとって、確かに頼もしく響くだろう。元同僚の持論には、激しく同意。
とは言え、ここは本音を引き出したい。
少々、意地が悪いけれど。三十路はじめに第一子を産んだ私が、妊娠中、悪阻(停滞していた代謝が、急速に亢進する余波)や腰痛に悩んだ(165 cmを超える身長で膨張し続ける腹部を支えるには、背筋・腹筋を鍛えておくべき)話なぞ振ってみる。
更に話頭が、Kさんのご子息達や拙宅の娘、それぞれの育児・教育にも及んだ所で、彼女の真意が徐々に浮かび上がって来た。曰く「自分が産んだ子どもなら、全てに於いて『可愛い』に違いない」と。
語弊を怖れずに言えば「無償の愛を捧げる対象が欲しい」みたいな?
しかし、己の内なる母性本能への、“美しい誤解”ではなかろうか……
「いや。Kさんも私も、子どもがやらかしちゃった時は、心底、憎たらしい!と思ってるけど?」と、敢えて冷や水をぶっ掛けるよな、ツッコミを入れてやれば。案の定「えっ!そうなんですか?」と真顔で驚かれた。
うーん。
理想を夢見る彼女の純心も、健気で尊く“うつくしきもの”ではあるけれど……
結婚にせよ。育児にせよ。生きて在る人間を対象とする営みは、綺麗な物も汚い物も一緒くたになっちゃう、日々の“生活”に他ならないし。理想どころか意想もしなかった事件が、勃発するのは当然。憎たらしい!と感じるのも止む無し、なんですが。
で、それを乗り越える“覚悟”の源泉は、きっと、愛でも本能でもなく。
裏も表も。伴侶となる人の全てを知った上で、彼と一緒に
母性を行使してみたい、という迂闊にして純粋な、好奇心。
言い替えれば、人間にしか発揮し得ない高度なメタ認知能。
“うつくしき”無償の愛を注ぐ対象は、妄想の裡に留めておく方が、リアルな世界を平和に保つコツwてな事は、広義の“お嬢様”なれば御承知の通り。
己の萌えと滾りが駆動する、好奇心という
絶大なる“力”が発動しようとしない限りは。
「結婚しませんが、それで?」
「出産しませんが、それで?」
なんて、気後れすること一切無しに。自らの希望するまま、“産む性”を行使しない、という選択も、自然体で出来る世の中にしたいんですけどね。
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