2014年8月14日木曜日

A Lovely Happy Ending

先日レビュウさせて戴いた、『死刑執行人サンソン ― 国王ルイ十六世の首を刎ねた男』を通読中。フランス革命史にドップリ嵌まってた折りも折、娘の同級生が、東京宝塚劇場で上演中だった宙組の『ベルサイユのばら』を観て来たそうで。

多感な(?)小学生だった頃、いわゆる“昭和ベルばら”の洗礼を受けた世代。
俄然当然、相方共々、その当時の話題で盛り上がります!

『空前のタカラヅカブーム』と称された時代で、テレビの劇場中継番組が何度も放映されてましたし。原作も、単行本各巻のタイトルや(『燃えあがる革命の火の巻』とか『いたましき王妃の最後の巻』とか)名台詞を(『文句があるならベルサイユへ…』とか『そのショコラが熱くなかったのを…』とか)覚えちゃう位、読み耽ってました。

なのに京都住まいの数年間、一度も「宝塚大劇場へ行ってみよう!」という話にならなかったのは、全くの“一見さん”、しかも未だ学生・院生の身分では、高嶺の花に思えたんですよねぇ、たとえ関西在住でも。

東京宝塚劇場なら、もう少し敷居が低い&今なら、オンラインでチケットを買える、とは言え。やっぱり、先達が欲しい……と二の足を踏むのは、歌舞伎やオペラに通ずる所があります。

あ、娘の級友は母上が“ヅカファン”で。イイですよね〜v 親子でタカラヅカ!
「観に行くなら、阪急乗って大劇場よねぇ(ウットリ)」てな憧れもあったり。

“人生の折り返し点”を過ぎちゃった小母ちゃんの,複雑なアンビバレンスw を埋めるべく、まずは週刊朝日の書評で見掛けた『ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚』を読んでみました!

月・花・雪・星・宙、そして専科の、各組に因んだ6話オムニバス構成。
語り手はいずれも、人事異動でやむなく、あるいは娘 or 妹の志望で思いがけなく、それまでは全く興味が無かった“タカラヅカ”に、気の進まぬまま深く関わらざるを得なくなった男性達です。

《以下『ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚』のネタバレ御注意!》

各話を綴る視点は、生徒監・実父・実兄・大道具・制作、と変転すれど。全編で描かれるのは、宝塚歌劇団100年の歴史から切り取った、とある十数年の物語。“ヅカファン”のお姉様がたならば、演目・興業の記述や登場人物達のキャラクターから、「あの頃の話がモデルね!(ピコーン)」とお判りになるのでしょう。

なにやら僅かな瑕疵もあるようですが(cf. Amazonさんのレビュー)……

初心者にとっては、充実の参考文献に裏打ちされた、懇切丁寧な説明的台詞w が随所に鏤められて、誠に有り難く。“お父ちゃん”代表の宮津 大蔵 先生が、二の足踏んでる私共のために、精一杯の愛を込めて一所懸命書いて下さった、超絶ラブリーにして大変稀有な参考書でございますので。

何卒、お姉様がたには鷹揚寛大な御心にて、お目こぼしを願いたいところ。

男役に憧れて宝塚音楽学校への入学を志し、憑かれたように厳しいレッスンに明け暮れる小学生の頃から、男役としてやれることは全てやり尽くした、とスッパリ潔く退団し、華麗に第二の人生を切り拓くところまで。

トップスターではない“普通”のタカラジェンヌ達が、どんなに辛いことがあってもあくまで朗らかに、「清く 正しく 美しく」生き抜く様を俯瞰して、ヅカファンではない“普通”の読者が、深く心を寄せ熱く涙することが出来る物語は、これまで無かったんじゃないかなぁと思います。

手に汗握ってハラハラしつつも、傍で見守っていることしか出来ない、“お父ちゃん”達だからこそ綴れた、素敵に上質な“A Lovely Happy Ending”……ほのかな憧れを抱きつつも、二の足踏んで遠くから“タカラヅカ”を眺めているお嬢様・奥様がたに、是非ぜひお奨めさせて戴きたい一冊でした!


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