>>第2話レビュウ『貴族の威信・市民の矜恃』を読む
>>第3話レビュウ『華麗なる婚活・隠然たる不穏』を読む
第4話は一転、叙情豊かに語られましたねぇ……『ダウントン・アビー』!
まさかのスラップスティック・サスペンス?!な展開だった第3話「欲望の代償」で、視聴者の度肝を抜いて下さったジュリアン・フェローズ御大。
ですが今回は、“女たちの『ダウントン・アビー』”とでも題したくなる、誠に趣深いお話でした〜vvv
一見、ステレオタイプなキャラクタ設定。
だとしても、豊富潤沢な“在庫”と縦横無尽に“語る力”さえあれば、万人の心に響く物語を紡ぎ出せる……と証明して戴いたような。
昨今巷間に溢れる珍妙奇怪なキャラ設定も、受け手を幻惑するストーリーも。
実は、独創的なドラマを創出するため不可欠、ってわけじゃあないんですよ!
などと、力強い“実証”を得て、つい持論を力説しちゃった後。村上リコ様の呟き経由で、『オスマン帝国外交官の例のエピソードは実話だった!』てな記事を拝読し、リアルで爵位をお持ちな脚本家の、豊潤過ぎる“在庫”にガクブルしておりますw
さてさて、人生に屈託をお抱えのお嬢様がたには、是非、御覧戴きたい第4話。
初心なキッチンメイドから伯爵家のご長女まで……
女性たちの来し方・行く末に、期待が高まります!
《以下、第4話「移りゆく心」のネタバレ御注意!》
ある日突然、広場に移動遊園地が……
てのは、レイ・ブラッドベリの『何かが道をやってくる』で、お馴染みの光景(なのはSF厨の私だけですかそうですか)などと、昔懐かしい記憶を探るホンワカした心地は、『DOWNTON FAIR』の日付を目にした途端、吹き飛びました。
ええっ?!『THURSDAY, MAY, 29TH』ですって〜?!
ベイツ氏曰く『明日の午後からだ』ですって〜?!
と言う事は。第1話が、タイタニック号の沈没のニュースが届いた日、すなわち4月の半ばでしたから、1ヶ月半足らずの間に……
爵位継承者兼ご長女・メアリー嬢の婚約者だった甥御様父子が亡くなって告別式して喪が明けて、次の後継者・マシュー青年は転職先探して移転してお母様のクローリー夫人は病院理事長になって、メアリー嬢は華麗なる婚活して狩りに行って一夜の恋のお相手に夜這いされて急死されちゃったって事ですか?!
【追記】時系列考察の“答え合わせ”は、第6話レビュウ『世間の噂・家族の絆』
をご参照下さいませ。
【追記】時系列考察の“答え合わせ”は、第6話レビュウ『世間の噂・家族の絆』
をご参照下さいませ。
考えてみたらメアリー嬢ってば、勝ち気なご性格なのを良い事に(?)、実はメチャメチャ翻弄されまくってましたね。
これは、もう少し親身に同情申し上げねば、可哀想かも……
となった所で、今回の“階上”の主人公は、正にメアリー嬢であることが徐々に判明。さすがジュリアン・フェローズ御大、視聴者に感情移入させる布石が、素晴らしく行き届いております。
初回から、なんとなーく妄想してたんですけど。
奥様が、跡継ぎとなる男子を産めなかった事を、引け目に感じてらっしゃるのと同様に。長子として生まれたメアリー嬢は、自分が女子である事を肯定出来ないまま、育って来られたのかな……と。
良く言えば気丈、悪く言えば可愛げがないw ご性格を殊更に装ってらしたのも、女性である自分を、否定的に客観してらした気持ちの裏返し……
マシュー青年へ漏らした本音から、メアリー嬢のそんな遣る瀬無さが、率直かつ自然に伝わって来ました。
そして“階下”の主人公は、家政婦長のミセス・ヒューズ。
同格、もしくは自身に準ずる上級使用人として、Mrs.(未婚でも)family nameで呼ばれる料理長や侍女との、かなり熾烈な鬩ぎ合いに腐心しつつ。
メイドから家政婦長へ登り詰めるまで、ダウントン・アビーで勤めを全うして来た誇りが、己の有り様を肯定してくれるのです。
それから、想う所を正直に打ち明けられる、カーソン氏の存在って、ホント大きいですよねぇ。長年、同じお屋敷で勤め上げて来た、同僚だからこその信頼関係は、どんなに大金を積んでも、手に入るものじゃあございません。
その他にも、超絶素敵なエピソードが盛り沢山だったのに、ものすごーく端折ってしまって、恐縮至極ですけど。
“幸せの鍵”は、結局の所、客観的な自己肯定感が持てるか否か……
階級も貧富も、既婚でも未婚でも、一切関係ない、ってのが、今回のお話から最も強く感じたメッセージでした。
あ、ひょっとして。ミセス・ヒューズが腰に下げてらっしゃる、家政婦長の象徴=鍵束が、“幸せの鍵”の隠喩だったのでしょうか?てのは妄想深読み過ぎましたねw
それにしても……旦那様の『私は管理者であって,所有者ではないのだ』とか。
先代伯爵夫人ヴァイオレット様の、ミス・マープルも斯くやな名探偵振りとか。
(勝利の鼻唄カワユスw あ、“ヘンルーダ”って、ミカン科の常緑小低木だそうです)
ミセス・パットモアの仰る『迷える魂』って、“そういう意味”か(ピコーン!)とか。
この度も、痒い所に手が届く萌えポイント満載で超絶美味しく戴きました〜vvv
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