また過去2年半分の拙ポストにつきましては、ブログ『発達障害な僕たちから』でご引用戴いた文章を中心に、重要と思われる論考を少しずつBloggerで再録していこうと考えています。こちらの対策も、ご意見・ご要望がございましたら是非お申し付け下さい。
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『僕は30年間近く 家でひきこもっていました。
年老いた母に代わり、親戚の人たちも全国の施設を調べたりしてくれましたが、多くは障害者の人たちの支援をする場所で、僕の支援はどこも引き受けてはくれなかったのです。
話は変わりますが、僕のおじは うつ気味で、本人は困っていました。
そのことを知った上司がうつ治療の特集をしていたテレビ番組を録画したものを、おじに渡してくれたのです。
その番組が終わった後も引き続きDVDに録画がされてありました。
その あと番組が、ひきこもり支援をしている青木さんが特集された番組だったのです。
20年、30年とひきこもった人でも、40代でも回復に至る場合もあると、はっきりと話している青木さんの姿。
そして、一生懸命 訪問を繰り返している様子を見たおじは、自分の鬱のことより、「ついに見つけた!!」と番組で紹介された団体名で検索して、30分後には青木さんに電話をいれてくれました。
それが、今から6年前です。
僕は運が良かったのでしょうか。
おじが 鬱でなければ、そして上司が そのことを知らなければ。
僕は無くなった母の後を追っていたと思います。
運がいいとか、悪いとか・・・そんなことは僕にはわかりません。
ただ、いただいたメールで教えられたことは、もっと自分のことを情報発信する必要があると思ったことなのです。
こんな大変な状況でも、諦めずに的確な支援を受ければ、回復して社会に戻ることができるのです。
その事実を探している人たちがいるのです。頑張ります。』
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「東大さん」こと大野さんは、御年58歳。私よりいくつか年長でらっしゃるのですが、ほぼ同世代ですので『運がいいとか、悪いとか』との一節で思い起こすのは、やっぱりさだまさしさんの『無縁坂』なのかも……などと想像を巡らせつつ拝読しました。
歌詞では『そういうことって確かにあると あなたをみててそう思う』と続くのですが、私としては大野さんと同様に『そんなことは わからない』と感じています。そして大野さんのお母様も、きっと『運がいいとか、悪いとか……そんなことは わかりませんよ』という大らかで平らかな心根を、生涯お持ちでいらしたように拝察します。
お目もじすることは叶わぬ願いとなり果ててしまいましたが、大野さんのお母様がひきこもり続ける我が子へ、何十年も変わらぬ鷹揚なお心構えで『「諦めない限り、必ず希望はあるんだ。」と励まし』続けたご覚悟は、私にとって誠に貴い稀有なお手本です。
大野さんのおじ様が、上司から懇切親身なご心配を賜るほど誠実な、そして『自分の鬱のことより』甥のひきこもり支援を優先するほど利他なお人柄だった旨も、きっと『運がいいとか、悪いとか』という人間の力だけではどうにかすることが難しい、原因・結果の理屈には当てはめられない「偶然」なぞではなく、お母様のご覚悟が丹念に丁寧に粘り強く切り拓いて下さった「必然」の隘路だったのだ、と私は理解しております。
この記事で大野さんが綴って下さった、他者への希望のためにこそ自分は幸せになる!というご覚悟も、お母様おじ様から連綿と受け継がれた血の為せる必然なのでしょう。
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