2019年2月28日木曜日

たったひとつの冴えたサポート

当事者の皆さんが、ひきこもりへ到ってしまった旨に理由があるように、皆さんの親御さんが、我が子への対応を誤りひきこもりを長期化させてしまった旨にも理由があります。当事者の皆さんが、大きくて深い不安ゆえひきこもってしまったように、親御さんも、我が子に対する不安があまりに大きく深かったゆえ対応を誤ってしまったのです。

だとすれば、我が子のひきこもりに悩む親御さんへの最善最上のサポートも、当事者の皆さんに対する最善最上の支援と、同じやり方を踏襲すればいい。

それが私の、この数年間に渉り敬愛するブログ『発達障害な僕たちから』で学ばせて戴いたお蔭様で得ることが叶った、たったひとつの冴えた結論です。

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2019-02-26
30年ひきこもった僕が社会復帰できた3つの理由 東大

4年前の今ごろでしょうか。青木と一緒に、東大大学院を終了後20年ひきこもった方を訪問しました。    
お母さんから「今まで色々な所に お願いしましたけれど、誰とも会わずに きた息子です。当日 会えないかもしれませんが、来ていただけますか。」とのことでした。  
しかし、彼に会うことが できた私たちです。僕と青木で、事前に お母さんから聞いていた彼の趣味などを元に、話す内容をあらかじめ考えていた僕たちです。   
それは大当たりでした。とにかく よく話し、笑いました。    
時間が来て、御自宅を後にしました。お母様が近くのバス停まで、お見送りしてくださいました。バスが見えた時に、お母様が短く こういったのです。   
「東大さん、あなたは ひきこもったけれど、今 こうして私と息子を幸せにしてくれました。息子の笑い声を聞いたのは20年前です。尊いお働きに感謝いたします。」そう言って僕の手を握ってくれました。   
僕は乗ったバスの車内で泣いてしまいました。少し前まで、命をたつことしか考えていなかった僕ですから。   
青木の言葉「人を助ける働きをしています。どうか力を貸してもらえませんか。」その通りになって 僕は ほとうに嬉しかったです。

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2019-02-27
20年間ひきこもった僕が 
もう一度 やり直す決断をしたわけ。Mr.Joe

日本ではなく、海外で やり直すことを話してくれた青木さん。   
そして、一足お先に海外で どん底状態から、人生をやり直したヒロさん。そのヒロさんが、僕たちのような人向けに語りかけてくれたビデオを見ました。   
こんな人もいるのか と驚きと希望を そのとき感じたのです。そのヒロさんが、僕の背中を後押しするために、学校の休みを利用して、僕に会いに来てくれました。   
「Joeさん、僕でも できたのですから、あなたも できますよ。人生を楽しいものにしましょう。僕も お手伝いします。」   
あの時のヒロさんの真剣でいて、優しさをたたえていた目を 僕は忘れることができません。   
まだ ヒロさんには お礼を言っていませんでした。 
ありがとう。本当に ありがとう。

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「東大さん」こと大野さんが『社会復帰できた3つの理由』、そしてMr.Joeが『もう一度 やり直す決断をしたわけ』、いずれも『最善最上の支援』と題しブログ『発達障害な僕たちから』との交流を回顧した拙文への、ご返信と解釈し有り難く拝読しました。

大野さんが挙げておられるとおり、ご自身もヒロさんもMr.Joeも大統領さんもバード君も、サポートセンターの支援を卒業できた皆さんが『全員回復』なさった理由は、『当事者の・当事者による・当事者のための支援、果敢に実践かつ地道に実績を積んで来た事実が、サポートセンター名古屋の“特性”であり“強み”』だからなのです。

と言うことは、我が子のひきこもりに悩む親御さんへの最善最上のサポートも、「当事者の・当事者による・当事者のための」支援を目指せば、実現が期待できるでしょう。

ただし留意せねばならない点は、ひきこもった(あるいは、ひきこもりのリスクを抱えた)我が子に対する不安を克己できた親御さんでなければ、サポートする側にはなり得ないということです。誠に遺憾ながら、ご自身のお子さんの将来に明るい展望を持てず、現在進行形で心に大きくて深い不安を抱えたままでは、子育ての勉強に励まれても心理の専門職の資格をお取りになっても精神医療の現場へ転職なさっても、どんなに「良いお母さん」だとしても、最善最上のサポートを実践する側にはなり得ないと私は拝見しています。

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この数年間、自身の娘に自家製支援を施す傍ら、私が交流を図らせて戴いてきたブログは『発達障害な僕たちから』だけではありません。ブログを綴っておられるのは、ひきこもった(あるいは、ひきこもりのリスクを抱えた)お子さんよりも、その我が子に対する不安を抱えた親御さん、殊にお母様がたが多いゆえの必然ではありますが、結果的に「我が子に対する不安を克己できた親御さん」の候補を探し求めるに有意義な渉猟となりました。

青木先生が、大野さんに向かって『人を助ける働きをしています。どうか力を貸してもらえませんか。』という言葉をかけたことで、30年近くも不安に閉ざされていた大野さんの心を解いたように、私もそのお母様へ「我が子が発達障害と断じられても、親御さんが希望を失わないような働きを志しています。どうか力を貸してもらえませんか」とご相談したことで、当方をご信用ご信頼戴ける『対等な関係』を築くに到れたのです。

いくら心理職の資格をお持ちでも、ご自身のお子さんの将来に明るい展望を持てず現在進行形で心に不安を抱えたまま、なのに上から目線で『平等ではだめ。公平であれ。』なぞと当事者へ屁理屈を吹聴してらっしゃるようでは、とてもサポートを実践する側にはなり得ていないと、ご無礼ながら嘆息を抑えられません。どうか一日も早く、ご自身の心の大きくて深い不安へこそ真摯に対峙して戴きたいと、蔭ながら願うばかりです。

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