2019年2月13日水曜日

「良いお母さん」ができる最上

精神医療や心理の臨床におられる専門職が陥りやすい『勘違い。すれ違い。』は、日頃接しておられる患者さんがたを、当事者の全体像と思い込んでしまうことでしょう。

つまり「通うべき所へ通えない」すなわち臨床や支援へ赴くことさえ出来なくなった、ホンモノの社会的ひきこもりの当事者像を、彼らは殆ど経験できていない。にも関わらず、診察や面談には通い続けられる軽度な不登校やひきこもりを以て、全て「わかったつもり」になっている所こそ、サポートセンターのブログを綴っておられる当事者の皆さんが、口を揃えてカウンセリングは役立たずだと証言する所以と私は考えています。

精神医療や心理の専門職でさえその調子なのですから、「みんなと同じ」枠から外れぬ旨こそ正しいと信じて大人になった「良いお母さん」にとっては、障害と名指しされるほど大きな凸凹を我が子が生まれながらに抱えている事実が、『わかるからよくて、わからないからダメ』という自己否定に囚われ、不信感・被害感を我慢できず怒りでしか反応できない「カサンドラ」状態へ陥っても致し方ないくらい、過大な難儀なのです。

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2019-02-12
過去は変えられるのです。東大

過去を後悔して生きているのです。今更どうすることも できないのに。   
過去を後悔することが、人生の多くを占めていますと、ひきこもったままに なります。未来に希望を見出せば ひきこもりから一歩踏み出すことができます。   
しかし、ひきこもりから一歩踏み出しても、暗い過去は そのままです。もちろん 毎日プログラムをこなすことで、希望が見えてきます。   
日々、希望と後悔との せめぎ合いなのです。   
例えば、通っている学校で もう一度 良い成績を残した。英語が話せている と実感した。学校を終了した。  就職した。給料をもらった。   
もっとも大きな効果が期待できるのは、どうも彼女が できることみたいです。ヒロさんやJoeたちは彼女が できたことで、一段と状況が上向いています。   
そして いつかは、過去を変えてしまうことも できるのです。   
過去に起こった できごとを変えることは、映画や小説だけの世界です。しかし、過去の出来事をどう受けとめるかは 変えられるのです。

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「東大さん」こと大野さんがご返信下さった言葉をそのまま拝借し、昨日の拙記事を結語させて戴いた旨への、重ねてのご回答と受け止めつつ有り難く拝読いたしました。

かつて『過去は変えられる』と宣言し、『悲しみと悔しさで一杯だった過去』を『貴重な尊い経験として見ること』を実践しておられる師兄がたの筆頭に、大野さんはヒロさんを挙げてらっしゃいますが、私は『やらなかった理由を探しながら生きるなんて まっぴらだ。』という、大統領さんが3年前に綴って下さった記事を、先ず想起します。

今や完全に支援を離れたであろう大統領さんの、消息を伺う機会は微塵も期待しておりませんけれど、毎日必ずアメリカから拙ブログを訪れて下さっている御仁の閲覧記録に、そこはかとなく彼の気配を感じるからでしょう。もちろん実際にご笑覧下さっているのは、全くの別人かも知れない。でも、彼の国で彼の人がきっと頑張っておられる、という明るい妄想は今なお拙宅へ『励ます力』を連鎖し続けて下さっているのです。

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さりながら「東大さん」こと大野さんと同じく、せっかく合格出来た最高学府で躓いてしまった当事者さんの親御さんがたは、往々にして『過去を後悔すること』のみに囚われがちなご様子。お子さんが幼かった頃まで遡って思い出を手繰り寄せ、あの時のあんな兆候を私が見過ごしてしまったからとか、あの時にあんな期待を私が負わせてしまったからとか、我が子の過去に対する重い悔悟と現在に対する深い落胆が『人生の多くを占めて』しまっているケースを、ネットの渉猟に限っても多数お見かけいたします。

しかし身も蓋もない言い方をご容赦願えば、お子さんが生来抱えていた苦悩を長年「わからなかった」親御さんが、どれほど「わからなかった」過去を重く悔悟し「わからなかった」ゆえの現在に深く落胆なさっても、我が子を「わかる」ことはできません。

と言うより、大野さんが明瞭に言語化して下さったとおり『わかるからよくて、わからないからダメではない』し、『子どもが親を責めていないんですから、それでいいじゃないですか。』親御さんご自身の自己承認を修復するため「わかる人」に張り合って、我が子を「わかったつもり」でうそぶくのは止めにしませんか? あなたのお子さんの『悲しみや辛さ』の一部始終を完全に「わかる」人は、お子さん自身が唯一なんです。

せっかく念願の大学に合格出来た我が子が意想外な躓きを生じてしまった時、おそらく「良いお母さん」ができる最上は、謹厳な報告・連絡・相談で本人のフリーハンド=自由意志を尊重する対等の関係性をお築きになることと、私は愚考しております。

まずはお子さんの昼食に、愛情が込もった手作り弁当を毎朝必ず持たせるのでもなく、同じメニューを食べ続ける件へ「ちょっとコワい……他の定食とか食べて」なぞと上から目線で要求を突きつけるでもなく、自由意志をご承認下さる旨お奨めします

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