2019年2月15日金曜日

ホントは「進路選択ミス」なんです

通うべき所へ通い続けられる「配慮と我慢」の自発を最優先に据え、娘が大学生活に馴れてきた頃合いを見計らい2回生で早々に始動した就労支援の「予習」は、3回生の春学期を終えた時点で『何をしたいのか そのために何をすべきか』という認知を彼女自身が把握できる俯瞰へ達しました。その後ようやく修学支援へシフトし、すったもんだがありつつも4回目の春学期を終えたところで、卒業研究を除く所定単位を無事満了。

昨年夏には「みんなと同じ」ペースで大学から卒業見込のお墨付きを頂戴できましたが、ニッチな専門職に一旦就いたあと学資を貯めて留学するという自己投資の覚悟へ娘が到れた旨を幸い、夏休みから年末まで研究調査と論文執筆にガッツリ注力していました。

えぇっ?! さすがに4回生の夏には就活を始めさせなきゃマズいんじゃ?と思った親御さんがたには、僭越な物言い不躾ながらその附和雷同こそ「就活がうまく進まない」原因。「みんなと同じ」教育課程で積める「普通」の経験を通過させただけでは、いかに優秀な学業成績を修めていようと人間としての不備不足を抱えたまま長じてしまうのが、定型の枠を大きく外れたPolymorphous Developments=多様性発達者なのです。

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2019-02-15
バレンタィンディの一日、フィリピンにて。東大

この日、フィリピンは愛に満たされた日と なるのです。   
さて、そんな日。僕たちサポートセンターの仲間たちは・・・・・・。   
彼女が いるグループと いないグループで、様子は随分と違います。   
彼女が いるグループは 2週間前くらいから、この日の門限の延長願いを出します。そこから いかにして、限られた予算で彼女を喜ばせられるのか と知恵を使います。   
数年前に支援していた ある青年の場合。  その日 彼は、約束の時間に大幅に遅れることを彼女にメールします。待ち合わせの喫茶店で出会った彼女は、少し怒っています。   
そんな彼女を連れてプレゼントの服を選びに行くのです。自分で選んだ服を手にして、少し機嫌を取り戻した彼女。お会計を済ませて、店を出たところで、店の従業員から呼び止められます。   
「お客様、忘れておりました。あなたの大切な人から、このバラの花束のプレゼントを渡すように言われていました。」  
 突然のことに びっくりする彼女。状況を把握するまで、少し時間が かかったようです。青年は そこまで準備するために、わざと遅れることを演出したのです。   
「彼女すごく喜んでくれていました!!」満面の笑みをたたえて話す彼の顔を 今でも はっきりと覚えています。   
僕は「ああああ。この感じ、とても良いな。人生を謳歌しなければ いけないんだなあ。」「いいや、僕も人生を こんな風に謳歌したい。」   
感情が あまり豊かでない僕でも、心が ざわついたのです。

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昨日のヴァレンタインデイ、拙宅では娘が指導教授に申し送られた事務作業を終えて大学から帰宅した後、『日本では、どういうわけか女性が男性にチョコレートをプレゼントする日となって』いる次第を、家族みんなで多面的に議論しながら過ごしました。

要するに彼女のメンターたる指導教授も両親も、22歳の娘には『チョコレートをプレゼントする』相手が今のところいない旨を理解・承認した上で、その分の時間と情熱を将来に向けた自己投資に注ぎたい、という彼女の自由意志に合意しているわけですね。

さりながら私ども親は、娘の指導教授に直接お目もじしたことは、未だに一度もありません。教養課程の受講登録ゼミ配属時の志望申請、毎週のテクスト輪読会やゼミ合宿のフィールドワーク卒業論文のテーマ設定と研究調査など、その都度ごとに彼女の行動化が適切であるよう「報連相」で導きはいたしましたけれど、メンターたる指導教授とはあくまでも娘の人格を介してコミュニケートするよう、常々意識して参りました。

このあたりは恐縮ながら、度々学校へ怒鳴り込んでしまったヒロさんのお母様や、教授へ息子の大学院修了を捻じ込んでしまった「東大さん」こと大野さんのお母様や、ネットの渉猟で拝見した親御さんがたが繰り広げてらっしゃる無数の『勘違い。すれ違い。』を、反面教師とさせて戴いた感があります。殊にお子さんが最高学府へ合格叶ったにも係わらず、依然として親御さんが学校へ出向かねばならない事態に陥っているケースは、不登校とかひきこもりとか騒ぐまでもなく単純な「進路選択ミス」なんです。

ザックリ俯瞰した限りの私見ではありますが、不登校やひきこもりと称されているケースの8割以上が必要としているのは、「わかったつもり」で余計に事態を拗らせてしまう心理支援ではなく、懇切丁寧な教育支援でしょう。お子さんの全人格的な育ちから発露した自由意志を尊重するのではなく、学力の偏差値や試験の得点だけで親御さんや先生がたが先回りして決めてしまったがゆえの、単なる「進路選択ミス」なんですから。

大野さんの場合はたいへん無念なことに、30年のひきこもりを経てようやく懇切丁寧な教育支援へ繋がれた経過ですが、これもまた昨日コメントさせて戴いたヒロさんのケースに同じく、時代を鑑みれば止むを得ない仕儀だったと拝読しました。

遂に新設なった公認心理師の皆様からこそ「ホントは『不登校』とか『ひきこもり』ジャナクテ『進路選択ミス』なんじゃね?」と、ボトムアップでこの国の蒙を啓いて下さる臨床家が続々と現れて下さることを、蔭ながら期待申し上げております。

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