2019年2月2日土曜日

ピッタリ沿うのは「狭き門」

通うべき所へ通い続けられる「配慮と我慢」の自発を最優先に据え、娘が大学生活に馴れてきた頃合いを見計らい2回生で早々に始動した就労支援の「予習」は、3回生の春学期を終えた時点で『何をしたいのか そのために何をすべきか』という認知を彼女自身が把握できる俯瞰へ達しました。その後ようやく修学支援へシフトし、すったもんだがありつつも4回目の春学期を終えたところで、卒業研究を除く所定単位を無事満了。

昨年夏には「みんなと同じ」ペースで大学から卒業見込のお墨付きを頂戴できましたが、ニッチな専門職に一旦就いたあと学資を貯めて留学するという自己投資の覚悟へ娘が到れた旨を幸い、夏休みから年末まで研究調査と論文執筆にガッツリ注力していました。

えぇっ?! さすがに4回生の夏には就活を始めさせなきゃマズいんじゃ?と思った親御さんがたには、僭越な物言い不躾ながらその附和雷同こそ「就活がうまく進まない」原因。「みんなと同じ」教育課程で積める「普通」の経験を通過させただけでは、いかに優秀な学業成績を修めていようと人間としての不備不足を抱えたまま長じてしまうのが、定型の枠を大きく外れたPolymorphous Developments=多様性発達者なのです。

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2019-02-01
介護の現場で働いてみる と言ったけれど。東大

彼はフィリピンで学校を終了後、帰国して農業で将来やっていけないかを模索していました。   
北海道の農業団体が主催する「農業を志す人への説明会」に参加するために、東京まで行ったりもしました。しかし、農業をおこなうにあたり、費用の面、また体力の面でも やっていけないとわかり、諦めることにしたのです。    
青木は もちろん、最初から難しいと伝えたのですが、本人が無理だと思わない限り、いつまでも農業を志してしまうので、本人が納得するまで あちらこちらに説明を聞きに行かせました。   
フィリピンなら色々と仕事はあるのです。しかし、暑さが大の苦手な Sにとってはフィリピンに留まることが できなかったのです。    
なんども寝込んでしまうくらい でしたから。    
どうすれば良いのか。日本のスタッフが Sと一緒に色々と考えています。

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2019-02-02
4コマ漫画に挑戦 東大。

数年前から支援を受けている女性が います。イラストを描いてくださっている ひとです。   
最近は イラストが出てくるタイミングが、以前にも増して 早くなっています。   
昔は 頑張って描いては、ダウンして という感じでしたでしょうか。最近は 自分の感情をコントロールすることが できるようになったのでしょうね。   
僕たちの活動や ひきこもり、発達障害の情報を 読者の皆さんにお伝えするのには、どうしても文字では限界があります。イラストが必要なのです。   
ですから、彼女の存在は私たちに欠かせないものとなってくると思いますよ。プレッシャーをかけては いけません。プレッシャーというより、期待していると思って欲しいのです。

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フィリピンで修学を遂げたあと『農業で将来やっていけないか』模索を続けていた「Sさん」も、数年間の支援を受けて『以前にも増して早く』イラストを仕上げられるまでに回復した「Bambooさん」も、誰に催促されることもなく自発的に自由意志をお持ちになれたこと自体が、たいへん貴重な成長の緒(いとぐち)です。今は、ようやくつかんだ緒を二度と手放さぬようシッカリ握って、ご自分の多様性にピッタリ沿った「特別な」自己投資という「狭き門」への道を、踏み違えぬよう慎重に辿っていく大事な時期でしょう。

大野さんが綴って下さったとおり、支えてくれるメンターとの「報連相」を介して『一緒に色々と考え』ながら自己理解によって成長の糧(かて)を蓄え、スタッフや仲間から『プレッシャーというより、期待されている』と受け止める自己承認によって成長の鍵(かぎ)を見つけ出すことへ、どうか注力して戴きたいと蔭ながら願って止みません。

おそらく「Sさん」が農業や介護を志した方向性は、なにか/だれかを気遣うことが大好きなご自分のお人柄を、自己理解自己承認なさったからこそ定まって来たのでしょう。そして「Bambooさん」が『頑張って描いては、ダウンし』ながらもイラストを続けられた根気は、なにか/だれかの特徴を描出することが大好きなご自分のお人柄を、自己理解自己承認なさったからこそ維持できたのだ、と私は拝読しております。

大丈夫です。お二人が各々目指しておられる方角は、間違いなく「Sさん」ならではの特別な「Bambooさん」だからこその特別な、最善の「狭き門」へ続いています。道を踏み違えぬコツは、「みんなと同じ」価値観に附和雷同しない覚悟を据えることですね。

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