その『励ます力』を繋ぐ御縁に接しつつ私が抱き続けていた疑問は、お子さんがひきこもりへ到り長期に渉って継続してしまうご家庭と、すったもんだがありつつも再び通うべき所へ通い続けられるご家庭を、分かつ決め手は一体なにか?ということです。
ひきこもりのハイリスクを抱える我が娘への対処を学ばせて戴く、との必用も無論ありましたが、そもそもは私自身の好奇心が喚起して止まない疑義。そして当事者さんへの敬意と仁愛が主導するSense of Wonder の俯瞰を広めるにつれ、ひきこもりに陥るか否かを分かつのはお子さんが抱える障害特性の軽重より、むしろお子さんを取り巻いていた育ちの環境=家庭の文化が左右してきた日常である旨、徐々に拝察されて参りました。
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2018-12-29
年末、年始。もう一度
お子さんのことを考えてみませんか。東大
『まちがっても下記のことは言わないでください。
「この先を どう思っているのか? このままで いいのか?」
本人は、今から社会に戻るには どうすれば良いのかわからないのです。
不安が強くなり、それで ひきこもっているのです。さらに追い立てることは しないようにしましょう。
ご両親との関係が良好であれば、必ず心を開きます。その時に「一緒に考えてみよう」と誘ってみるのです。
中々心を開かない人たちには、それしか方法がないのです。
この年末、年始、今一度、挑戦してみてください。 何もしないと、ゼロのまま、何も変わらない。
最大の支援者は、私たちではなくて、ご両親なのですから。』***
2018-12-30
暴力が出たら まずは落ち着くこと。東大
『大切なことは、「落ち着く事です。」
本人に それを望むことは出来ません。暴力の対象となるご両親が、御本人と同じように、慌てふためいてしまいますと、火に油を注ぐことになります。
難しいこととは わかっていて、あえて言います。ご両親が落ち着いて「御本人さんと真向かうことです。」
決して「いい加減にしろ!」や「警察を呼ぶぞ。」などとは言わずにこう言ってください。
「お前の苦しみをお父さんに教えてくれ。お父さんはお前の話を聞きたいんだ。」
手に負えなくなりましたら、緊急相談先のサポートセンターにご相談ください。』
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恒例となりつつある、サポートセンターの年末年始対策。今節は「東大さん」こと大野さんが、非常に怜悧明晰な文章で分かりやすくまとめて下さいました。親御さん方がこの筆致に呼応なさって、落ち着いて下さることを私も蔭ながら願って止みません。
とは言うものの、大野さんも『 難しいこととは わかっていて、あえて言います。』と但し書きなさっているとおり、『ご両親が、御本人と同じように、慌てふためいて』『不安が強くなり』ついお子さんに対して『さらに追い立てること』を積み重ねて来てしまった育ちの環境=家庭の文化が、ひきこもりという日常へ到っているのです。
親御さん方に『まずは落ち着こう』というお気持ちになって戴くためには、第一にご自身が『慌てふためいて』『不安が強くなる』所以を鑑みて戴く必要があるでしょう。
例えばヒロさんのお母様が息子を助けようと熱中するあまり、成功のみを要求し失敗を厳しく糾弾する文化をご家庭に醸成してしまったのも、「東大さん」のお母様が受験教育に翻弄されるまま、失敗を一応は容赦しつつも成功による補塡を要求する文化へご家庭を邁進させてしまったのも、お子さんのために良かれと思っての所為がありました。
されど年長者たる親御さんが幼弱な我が子を教諭せねばという「上から目線」に終始し、導く者と導かれる者とが対等の関係ではなかった結果、年長者は教諭してきた成功が実現しなかった顛末に『慌てふためいて』『不安が強くなり』、幼弱な側は他者を信じ頼みとする力を育めぬままひきこもる以外の生きる術が無くなってしまったのです。
ひきこもらせない/ひきこもりから脱するため必須なのは、実のところ成功ではなく、当事者自身の要すること・求めることを、当事者自身が把握する自己理解。そしてそれを支えるため必須な環境は、成功より失敗の方が多い人生をも丸ごと容認できる、平らかで大らかな対等の関係に基盤する文化で包まれた『まずは落ち着ける』日常です。
遺憾ながら親御さんが『慌てふためいて』『不安が強くなる』所以をどうしても解消しがたい/ご自分にも我が子にも成功を要求する文化から何としても脱しがたいケースは、ご両親が「親子関係は悪くない」とお考えであっても、ひきこもっているお子さんを他所様へ委ねる覚悟をこそお薦めせざるを得ない、と蔭ながら拝見しております。
【拙ブログの関連記事】『ひきこもらせない文化』 『Parenting is Difficult or Not?』
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